母が重い、母がしんどい…急増する「こじらせ母娘」【後編】 

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母との関係に悩むライターの私が、『母を許せない娘、娘を愛せない母―奪われていた人生を取り戻すために―』の著者・袰岩氏にお話を聞きました。

悪いのは母か?私か?



母を許せない娘、娘を愛せない母――本に登場する母娘たちは、娘の“摂食障害”“不登校”などがきっかけで、カウンセリングに訪れていますよね。実は私も、情緒不安定だったことから心療内科を訪れ、カウンセリングを勧められたわけですが、自分の精神的な弱さの原因を“母との関係が悪いから”という理由に落とし込んでいいのか、という部分が少し気になっています。
 
「母親との関係が、心の不安につながって精神的な不調をきたしていると言っていいと思います。ただ、全部が全部母親のせいだというわけではありません。母親がそうなるところでは父親が介在しているはずですし、母親の生い立ちも背景にあるでしょう。しかしながら、子供を産んでいる責任というものが母親にはまずあるわけです。ある程度成長してからもその問題を放っておけば娘の責任も出てきますから、おおざっぱにいえば7:3というところでしょうか。親のほうが責任は大きいと思います。
 
でも、気づいて取り組みだしたところで、もうあなたは正しい道を歩みだしているのですから、母のせいとか自分のせいみたいなことを、あまり考えないほうがいいでしょう」

――心の病気は、まだまだ理解されにくい部分が多いと思います。「心療内科に通っている」と言えば、多くの人は身構えるはずです。「そんなものは意志の弱さだ」「うつなんて誰でも持っているもの」、そんな意見もちらほら聞きます。どこかやっぱり、偏見があるように感じるのですが……。
 
「うつでも摂食障害でもそうなのですが、“治さなければならない”というわけではありませんし、不調に陥ることがすべておかしいわけでもありません。その症状と付き合って生きていくという選択肢もあります。その人の生き方としてそれを選ぶならば、それはそれで構わないのです
 
――心の病気が完全に治るということはあるのでしょうか?
 
「心の病気といってもいろいろありますが、心理的外傷体験によるものなどについては完全に治る、治らないという考え方を、私はしません。心の中のこと完全に一掃しつくす、癒しつくすということはないように思えるので。
 
ただ“完全に”という言葉を除けば、だいぶ治せるのではないでしょうか。つまり、日常生活を送れる、本人があまり苦にしなくなる。目標をその辺りにおけば、かなり治るといえるように思います」

※vol.2では、筆者が思春期の頃から感じていた母への想いを紹介します。

【袰岩秀章氏】
埼玉工業大学心理学科教授、カウンセリングルーム・プリメイラ代表。20年以上カウンセリングの現場に立ち、国内外で活躍。専門は集団精神療法。カウンセラー向け講座の講師を数多く務めており、新人育成にも力を入れている。

<TEXT/木村メリッサ>

母を許せない娘、娘を愛せない母―――奪われていた人生を取り戻すために

カウンセリングの現場で示された、毒にしかならない母親と決別して自由になる方法。




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