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「こっちのほうがいいわよ」母に意見を押し付けられる末っ子【こじらせ母娘】

 みなさんは母親との関係、うまくいっていますか? 最近、「母が重い」「母との関係がしんどい」と告白する女性が増えているんです。

『母を許せない娘、娘を愛せない母―奪われていた人生を取り戻すために―』(ダイヤモンド社)の著者・袰岩秀章氏にお話を伺い、母娘問題に関して見られるパターンを兄弟構成別に教えてもらいました。

末っ子は“ペット”のような立場になる可能性も



「末っ子は、一人っ子と似て甘やかされがちなのですが、一人っ子の場合だと親は頼りにする部分もあるわけです。ところが末っ子になると『兄も姉もいるから、この子は戦力外』という見なされ方をされやすい。へたするとペットのような立場になってしまいます。

 でも表面上はみなかわいがってくれるので、『私はペットじゃない!』と深刻になることも少ない。末っ子は、漫然とかわいがられているうちに、“自分がはっきりしなくなって苦しむ”傾向にあります」

こじらせ母娘・末っ子 以下、袰岩氏の元を訪れたある20代女性のケースと、袰岩氏のアドバイスを紹介します。

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20代後半女性・Bさんのケース



 Bさんは母親に連れられ、私のカウンセリングルームを訪れました。母親によると、彼女は不登校でした。中高も休みがちでしたが、なんとか卒業したようです。「大学に入ったのでもう安心だ」と母親は思ったようでしたが、実際には娘は大学に行っていませんでした。

 母親は「だまされた」と私に訴えました。それから、あからさまには言わないけれども、「私の代わりに叱ってくれ」と考えているようでした。

 Bさんはというと、見るからに元気がなくて生気が乏しく、自分からはほとんど話しません。そのため、私のほうから話を進めていく形でしたね。母親から聞いた話の中で感じたことをフィードバックしたり、似たような立場にいる人の気持ちを伝えてそれに共感したり。

 クリニックの受診も並行し、自分から話せるようになってくると、しだいに彼女はこう言うようになりました。「自分が頑張ろうとすると邪魔されてしまう」。はじめは“誰に”とは言わなかったのですが、それが“母親”であることに特化していけるようになるまで、8か月くらいかかったと思います。

親離れをするために大事なこと



 彼女の苦しみのもとは、「母親が干渉する」ということでした。洋服でも食べ物でも、自分がいいと思ったものがあるのに、母に「こっちのほうがおいしいわよ」「こっちのほうが似合うわよ」と押し付けられる。それも半端でなく。

 中学生くらいのとき、Bさんが母親と夜にケンカをすると、母親から「ああもう眠いのね、寝なさい」と追い払われたという話が印象に残っています。母親は、「眠いから機嫌が悪いのだ」と、Bさんを幼子扱いしていたのです。

 このケースは母親のかかわり方も変わらないと、本人が自分のペースを作っていきにくいので、母親との面接も行いました。「本人らしさを出すためには、干渉を控えるほうがいい。そのほうが見違えるようにしっかりする」と繰り返し、繰り返し丁寧に伝えました。

 ただ、母親は娘よりも年齢が上の分、概して考え方は変わりにくいので、母親にまったく変わってもらうことを期待するのは現実的ではありません。母には母の言い分もあります。

 彼女は途中から母親へのネガティブな気持ちに気づいていったわけですが、それを「“許す”・“許さない”というより、“気にしないでいられる”ほうが大事」と少しずつ伝えていきました。だんだん彼女も母に対して「もういいか」と思えるようになってきたようです。

 親離れをするには、「親から離れようとするのは間違っていない」ことを確認すると同時に、「何もかも自分でできなくちゃ」という思い込みを捨てることも大事です。間違っていませんので、勇気を持ってやってほしいと思います。

<TEXT/木村メリッサ>

【袰岩秀章氏】
埼玉工業大学心理学科教授、カウンセリングルーム・プリメイラ代表。20年以上カウンセリングの現場に立ち、国内外で活躍。専門は集団精神療法。カウンセラー向け講座の講師を数多く務めており、新人育成にも力を入れている。
母を許せない娘、娘を愛せない母―奪われていた人生を取り戻すために―』(ダイヤモンド社)

母を許せない娘、娘を愛せない母―――奪われていた人生を取り戻すために

カウンセリングの現場で示された、毒にしかならない母親と決別して自由になる方法。




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