DV、ストーカー…行動で表現する“息子”は、娘以上に難しい【こじらせ母娘・後編】

 みなさんは母親との関係、うまくいっていますか? 最近、「母が重い」「母との関係がしんどい」と告白する女性が増えているんです。

『母を許せない娘、娘を愛せない母―奪われていた人生を取り戻すために―』(ダイヤモンド社)の著者・袰岩秀章氏に、“母と娘が”注目される理由を3つ教えていただきました。

⇒【前編】「“こじらせ母娘”が増えるなか、実は“母・息子”のほうが大問題」はコチラ

 後編では、娘以上に難しい母と息子の問題について取り上げます。

こじらせ母娘

女性よりも根が深い、“母息子問題”



――では母と息子の間にはあまり問題はないと見ていいのでしょうか?

「実は娘だけではありません。“母と息子”の間には娘以上に難しい問題があります。むろんそれには、父が絡んでくるわけですが。

 男性も変わりましたが、それでも自分の内側に目を向けるより外に発散するほうが基本的に多い。言語的な表現よりも、行動的な表現を取りやすい。例えば暴力もそうです。

 心の葛藤を外に発散する男性たちの問題は、社会的な問題と結びついて根が深いんです。ストーカーや幼女の拉致、そしてDV。これらは近年ようやく事件として報道されるようになりました。どれも事件を起こした“男性が悪い”ように言われますが、その男性を育てた親には大きな責任があるわけです。

 戦後の日本の家庭では、まず子育てにおける父親の役割が不鮮明になり子育てから脱落し、続いて母親の役割が不明確になって子育てが混沌となりました。今最も起きやすいパターンは、父親は子どものことになかなか気づかないが、気づくと“怒鳴る・説教する”。母親は子どものことに気づきやすいが、“何もしない・できない”。

 こういう状況が続くと、子どもは親に愛着を持てなくなり衝動のコントロールができにくくなりやすいのです。そして男性はそれを行動に表わしやすい。

 誤解してはいけないのですが、すべてがその父親あるいは母親の問題だというのではありません。その父親や母親をその状況に追いやった、社会的背景や環境が必ずあります。だから、取り上げるのは非常に難しくなるのです。

 虐待をする人の多くは、自分が犠牲者でもあります。母親から十分なケアをされていない、母親が虐待者というケースもあれば、父親からの暴力というケースもあります。

 ある男性虐待者(加害者)の治療グループでは、メンバーのほとんどが、親からの性的虐待を受けた被害者でもありました。治療では彼らの心の闇を取り扱わなければならない。でも治療グループに法的に参加させられている彼らは、口をそろえて『そんなことはできない。もう死刑にしてくれ』と言いました。今までで一番辛い治療グループのひとつです。

 このように男性の場合は問題がとても扱いにくい。ただ母と娘の問題を考えることをきっかけとして女性の苦しみが減り、力強い優しさがわかる女性が増えれば、男性にもそれだけチャンスは増えるわけです。

 その人たちの息子が元気に育てば、彼らと関わる女性たちも幸せになる可能性も増える。母と娘のことが取り上げられるのはチャンスかもしれない。母娘問題に関する本を書いた理由のひとつに、こんな想いがあります」

<TEXT/木村メリッサ>

【袰岩秀章氏】
埼玉工業大学心理学科教授、カウンセリングルーム・プリメイラ代表。20年以上カウンセリングの現場に立ち、国内外で活躍。専門は集団精神療法。カウンセラー向け講座の講師を数多く務めており、新人育成にも力を入れている。

母を許せない娘、娘を愛せない母―――奪われていた人生を取り戻すために

カウンセリングの現場で示された、毒にしかならない母親と決別して自由になる方法。




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