Love

「好き」と言わない彼。遊ばれてる?【恋の悩みに効く言葉】

佐藤文香

俳人の佐藤文香さん

 何かに悩んでいるとき、ふとした言葉が心に響くもの。若手俳人・佐藤文香さんが、恋の悩みを聞いて、相談者にピタリとくる“恋”の一句を紹介します

 相談者は「恋愛経験が少ない」と自称する、都内在住のMさん(27歳)。今までの彼氏は、学生時代から6年間付き合った一人のみ。そんな彼女は現在、合コンで出会った年上の男といい感じになっているのだが、あまりにも経験値が違いすぎるので、このまま付き合っていいのか悩んでいるそうです。

恋愛経験に差がありすぎて不安



M: 私、恋愛経験が本当に少ないんです……。以前付き合っていた彼氏とは6年続きましたが、今年の初めに別れたんです。久しぶりに新しい出会いが欲しくて、5月末に合コンに参加しました。

 そこで出会った男性といい感じになったんですけど、話を聞くと結構遊び慣れてるんですよ(笑) 。一応、今付き合ってはいるんですけど、向こうにとっては遊びなんじゃないのかなと思ってしまって、不安なんです

佐藤: 遊び慣れているというと、どんな感じ?結構チャラい感じですか?

M: 元カノは10人近くいるらしく、一晩限りの関係も結構あるみたいですね。甘めな顔立ちでオシャレな感じで、ちょっと王子様タイプです。合コンで、すごく気が合ってたんですけど、帰り際に手をつながれて『ホテルへ行かない?』と誘われました。その日はびっくりして断りましたけど、2日後、二人で飲んだ後、『DVDを観よう』と私のアパートの目の前まで来たりとか(笑)。

 私が嫌だって言うと、無理にまでは入ってきませんでしたけど

佐藤: かなり経験値が高くてヤリ手なハンターですね。逃げれば逃げるほど追ってくるタイプ!

俳句, 合コン, 恋愛, 恋愛の悩み, 悩めるオンナたちM: 3回目に会った時にとうとう家にあげてしまって、結局Hしちゃったんですけど、まだハッキリと『好き』と言ってもらえなかったんですね。だからこっちから『好きですよ』と言ったら、『ありがとう』と言われただけで、お茶を濁された気がしてなんだか納得いかなくて……

佐藤: ナニサマ!って感じですね。最近ある既婚男性と話したんですが、『奥さんには好きなんて言わないけど、新しい女の子に好きになってもらうためなら言う』らしいです。

 Mさんの場合、何度も断り続ける間に彼のことがどんどん好きになってしまい、その心の変化が全て、彼に見透かされちゃっている。向こうからすれば、『女に好きって言わせれば勝ち』って感じでしょうから、彼は次のハンティングに繰り出してしまう可能性が高い

「好き?」「私たち付き合ってる?」と聞くのは我慢



M: でも、その後、家に遊びに来たときは、ご飯を作ってくれたんですよ。何品も普通の家庭料理みたいに。凄く優しいし、やっぱりこんな人と一緒にいるなんて幸せだなーとは思うんですけど……

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悩めるMさん(左)

佐藤: 基本的には優しくて、女性の扱いに慣れた人なんでしょうね。でも、彼は束縛されそうになるとうまくすり抜けて、それも恋愛ゲームの一貫だと思っていそう。

 今の段階で勝手に将来を悲観して、こちらから別れを切り出してしまうのは簡単ですけど、それだとせっかく言い寄ってもらえたのに“負け戦”になっちゃう。

 とりあえず、彼のことが好きなら、この恋愛をすみずみまで楽しむチャンス! 彼の恋愛経験から学ぶこともあるだろうし、王子様が自宅で料理してくれるなんて、うらやましい! 色々我慢することはあっても、大人の恋愛を育んでみてもいいじゃないかな?

M: 確かに、もう少し大人の駆け引きを勉強するべきなのかもしれないですね

佐藤: この恋愛の結果がどうであれ、確実にMさんの人生が豊かになると思います。後で振り返って『面白い経験だったなー』と思えればそれだけでも、付き合う価値はあると思いますよ!

<Mさんに送る“恋”の一句>

浴室に小鳥あふれて霧のホテル  (金子兜太)

佐藤: 実際に浴室に小鳥があふれているわけではないでしょうから、たぶん妄想の句ですね。湯だと思ったら小鳥で、それがどんどん浴室で増えて、騒ぎながらも楽しんでいる。

 泡風呂の泡が小鳥のようだとすれば、このホテルはラブホテルかもしれません。『霧のホテル』とすることで、洋画の舞台のような幻想的な風景が思い浮かびます。このホテルでの一夜は夢のような時間で、ホテルを出ると終わってしまうんですけど、なんとなくその夜はよかったという感覚が残る。それが一夜限りであったとしても。悪い思い出ではないな、という感じです。

 Mさんにとって今の彼との関係は、毎回が『霧のホテル』のようなものかもしれませんが、そんな日々をエンジョイして欲しいなと思います <TEXT/トモMC PHOTO/Adam Ward>

【佐藤文香さんプロフィール】
‘85年生まれ。高校時代に「俳句甲子園」という大会に出場し、注目を浴びる。現在は、各地で俳句や言葉のワークショップを行う。俳句甲子園を題材にした漫画、アキヤマ香月『ぼくらの17-ON!』(双葉社JOURコミックス)に協力。句集『海藻標本』(ふらんす堂)、共著『新撰21』(邑書林)。
ダ・ヴィンチ レター「さとうあやかのはいくサプリ」 blog「さとうあやかとボク。」(http://satoayakatoboku.blogspot.jp/)

句集 海藻漂本

言葉の負う背景、言葉同士のふれあいに気づき、感じる。




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