“尊敬している偉人がいる”男性はモラハラになりやすい

前編でお伝えした、男がモラハラに豹変してしまった例。次の相談者もなかなか手ごわい相手だったようです。

⇒【前編】男女間で立場が逆転するとモラハラに豹変してしまうワケはコチラ

■ケース2

 春香さん(仮名・26歳)の元カレは、見た目はさわやか、中身も誠実で、出会った当初はとても好印象だった。仕事も家業を継いで「人の為に頑張る」と、とてもひたむきな姿勢の持ち主です。「自分の知らない世界を知っているところが魅力的に感じたんです」とのこと。

 ところが付き合って約10か月経った頃、大地主だった祖父が亡くなって何十数億円以上の資産が遺産として手元に転がり込む。毎月何百万円もの家賃収入が使えるようになり、彼は仕事も放棄して豪遊し始めます。

「私が働いていたアパレル店に客として訪れ、大量のお金を落としていく見せつけもよくしていました」

 それを機会にモラハラが開始。

「まるで後出しじゃんけんのようにひたすらミスをせめてくるんです。作ったご飯に対しては『貧乏だから味が分からない』とも。雨の日に傘に入れてくれず、『俺の服は高い。お前の服は古着だろ? だから当たり前じゃね?』と言われたこともありました。カラオケが苦手なのに『ネタでウケるからやれよ』と言われて渋々歌ったら『歌うなよ』とダメ出しもされて、もうわけがわかりません」

 彼の行為はモラハラだけに留まらず、奇妙な行動も見受けられるように。

「父親を殺しかけたと言って、返り血を浴びて帰ってきたことがあります。家の中で大量の覚せい剤が見つかったことも。家から盗撮ビデオが出てきて、見たら私とのセックス、元カノとのセックス、一人でマスターベーションをしている映像がありました。それを報告したら、『お前みたの!? ハハハ!』と高笑いをしたんです。さらに過去に集団強姦をしたことをいつも自慢してきましたね。『あれは女、絶対喜んでたな』と。今思うと本当に最低です」

 彼女自身も「何とかしてあげなくちゃいけない」という思いを頂いており、典型的な共依存と思われる状態だったのですが、最後、初めて手を挙げられたことで我に返り、鞄一つで家を出て関係は終わったそうで……。

■解説 ~妄信している偉人がいる人は要注意~

 詳しく彼の生い立ちについて聞いてみると、やはり発育過程と自尊心の育成に色々と問題があったようです。母親がネグレクト傾向にあり、母の前では「良い子」を演じていたとのこと。あくまで聞いた感じですが、愛着障害を抱えているように感じました。また、優しくなる時期とモラハラが発動する時期が定期的に繰り返されていたとのことだったのですが、この「波」や「周期性」はDV男と全く同じ特徴ですね。

 ただ、今回のケースのように、一見誠実そうに見えるけれども、実はそれは自分を守るためにガッチガチの仮面を被っているだけで、何かの瞬間で壊れるようなパターンの場合は、どうすれば事前に見破ることができるのでしょうか?

 なかなか難しいのですが、やはり前編と同様に上下関係で物事を見ている場合が多いことがあげられます。周りと比較され、「ありのままのあなたに価値がある」という肯定をされてこなかった人ほど、上下関係というピラミッドの中に自分の居場所を見つける傾向にある。

 そして、現状の自分を受容・肯定できていないからこそ、自分とはかけ離れたものに対して非常に強い憧れを抱く傾向にあります。たとえば有名な経営者や偉大な政治家をやたら妄信しているケースが多く、今回のケースでは、パナソニック創業者の松下幸之助氏や、船井総研創始者の船井幸雄氏と言った偉人に異常に心酔しており、家の中には彼らの書籍がズラリと並んでいたとのこと。

 他にも、DV被害を繰り返してしまう女性は加害者男性の男らしさや力強さに惹かれ、近年のナンパ師や過激なモテ理論信者たちは今の自分では無い自分になれるスキームや、それを提供してくれる人もしくはそれを習得している人に惹かれる傾向にあります。このように、自己肯定感が伴っていない人ほど、現状の自分と連続性の欠いたものに飛びつく可能性がかなり高い。彼らはそこに一種のトランス状態を求めているのです。これは一つ、重要な判断の材料になるのかもしれませんね。

 モラハラ男性は、付き合う前になかなか見分けがつかないケースも多々ありますが、是非2つの記事を参考にして頂きながらアンテナ力を磨いて頂ければ嬉しいです。

桜は散ってしまいましたが、多摩サイクリングロードをお花見ランニングしたときの写真です(勝部)

⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】

【勝部元気氏】
コラムニスト。ジェンダー論、現代社会論、コミュニケーションを切り口にした男女関係論が専門。男性でありながら子宮頸がんワクチンを接種。『勝部元気のラブフェミ論』(http://ameblo.jp/ktb-genki/

勝部元気
1983年東京都生まれ。早稲田大学社会科学部卒。コラムニスト・社会起業家。専門はジェンダー論、現代社会論、コミュニケーション論、教育論等。他にも幅広い知識習得に努めており、所持資格数は66個にのぼる(2015年6月現在)。雑誌・TV・web等でコメンテーター活動をしている他、働く女性の健康管理を支援するコンサルティング会社(株式会社リプロエージェント)の代表取締役CEOを務めるなど、各種ソーシャルビジネスに携わっている。ブログ(http://katsube-genki.com/blog/)は、男性なのに子宮頸がん予防ワクチンを打ったレポートが話題となった。twitterは@KTB_genki 。初の著書『恋愛氷河期』(小社刊)は発売中
恋愛氷河期

著者は、ナンパ禁止論や反・不倫論で話題を呼んでいるコラムニスト。男性から、かつ若手からの立場で、女性に厳しい社会に真っ向からダメ出しをする。




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