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母子家庭だからこそ、子供に我慢させたくない!【シングルマザー、家を買う/19章】

<シングルマザー、家を買う/19章>

バツイチ、2人の子持ち、仕事はフリーランス……。そんな崖っぷちのシングルマザーが、すべてのシングルマザー&予備軍の役に立つ話や、役に立たない話を綴ります。


ローン生活に突入



 家を買い、ローンが始まると、しっかりと働かなくてはという想いに駆られるようになった。それまでも少ないながらもライターとして働いてはいたが、当時の年収は150万円以下。養育費と母子手当てを含んだとしても、このままでは娘と息子に“貧乏”を強いてしまうことになる。

 私自身が育ったのも、決して裕福な家庭ではなかった。中学生の頃は我が家の生活レベルをしっかりと理解しており、イトーヨーカドーの洋服屋さんにあった3900円のPコートをねだるのを真剣に悩み、結局口に出せなかった経験がある。今考えたら、防寒着のコートで3900円は激安である。でも、当時の私にはかなり高額に感じたし、母親にどうしてもそれが欲しいとは言えなかったのだ。

 欲しいと思ったおもちゃは頑張って誕生日、好きな洋服でねだっていいのは1900円が最高値。小さな頃は家族で出かけるとなると、近所の公園にピクニックに行くのが定番だった。

 でも、それで幸せだったし、辛いとも思っていなかった。なぜなら、それが当たり前だったからだ。両親も私も弟もそれを最大級に楽しいと思っていたし、夏休みにハワイに行くのは芸能人にならないと無理だと思い込んでいたのだ。

よそはよそ、うちはうち



 幸い、同じ団地が連なるこの地域では、生活レベルの差がほとんどなかった。スネ夫がのび太にラジコンのヘリを見せびらかすような話が現実にはそうそう起きることがなかったのだ。たまに友達が何かを買ってもらうということがあったとしても、それはむしろ「買ってもらえたんだ! スゴい!」という考え方になる。

 これが世に言う「よそはよそ、うちはうち」効果である。母親がかけるこの呪文って、ほんとにスゴい。

シングルマザー、家を買う/19章 さらに成長した私は、都立高校に行けば学費が抑えられるのに、私は“セーラー服が着たい”“都心の学校に行きたい”という完全にちゃらんぽらんな考えから、両親に私立の女子高校に進学したいとお願いしたことがある。この時、両親はものすごく反対したし、ストレートにお金がないと伝えてきた。でも、生まれて初めて土下座をした私を見て、最終的には許してくれたのだ。

 それと同時に、両親とお金のことについてしっかりと話し合ったからこそ、家庭の事情も飲みこむことができ、高校入学後はすぐにアルバイトを始め、学費以外には迷惑をかけないと誓い、今に至る。短大を卒業してから生活費を実家に入れ、現在も住んでいる家は違うにもかかわらず、私の仕事の都合でお迎えに行ってもらう日も多いので、保育料として実家に定額を納めるようにしている。

 何を言いたいのかというと、小さな頃に植えつけられた金銭感覚は、一生壊れることがないし、その人の芯を作るものなのだ。今も基本的に“節約”という概念は私の中にあり、その感覚を育ててくれた両親には本当に感謝している。

母子家庭だから普通の家庭以上に



 でも、だからこそ、自分の子供にも私のようになってもらいたいと思うのではなく、反面教師なのか、娘と息子には欲しいものを与えてあげたいと思うようになっていたのだ。

 特に母子家庭という肩書きが入ったからこそ、もっと稼いで普通の家庭のように、いや、普通の家庭以上に子供たちを満足させてあげたいとも思うようになっていた。

「ママにお願いしていいのだろうか」と考えることは大事なことだが、それが毎回にはならないように、ある程度のものは与えてあげたい。望みはかなえてあげたい。そう思うのは親として当然なような気がする。

 そのためには、お金が必要である。娘が私立高校に行きたいと願ったときに、しぶりながらも、いいよと言ってあげられるようなお金が。

 そこで、もっと生活費を増やすために、ライターとしての営業をしようと意気込んだのが、2011年の春。そう、東日本大震災の直後だ。当時、出版業界は一気に不況になり、廃刊や休刊が相次いだ。これまでお世話になっていたライターさんたちも廃業し、一般企業に就職するという話しも耳に挟むようになったのだ。

 あれ、これってピンチ!?

⇒【後編】「同情するなら仕事をくれ」働かなくちゃ、育てられない!」に続く http://joshi-spa.jp/251534

<TEXT/吉田可奈 ILLUSTRATION/ワタナベチヒロ>

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【吉田可奈 プロフィール】
80年生まれ。CDショップのバイヤーを経て、音楽ライターを目指し出版社に入社。その後独立しフリーライターへ。現在は西野カナなどのオフィシャルライターを務め、音楽雑誌やファッション雑誌、育児雑誌や健康雑誌などの執筆を手がける。23歳で結婚し娘と息子を授かるも、29歳で離婚。座右の銘はネットで見かけた名言“死ぬこと以外、かすり傷”。Twitter(@singlemother_ky

シングルマザー、家を買う

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