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女性AV監督が語る「エロでコンプレックス解消」のヒミツ

たたかえ! ブス魂~コンプレックスとかエロとか三十路とか~ 女性AV監督であり、演劇ユニット「ブス会*」を主宰するペヤンヌマキ氏の、初のエッセイ集が8月21日に発売。その名も『たたかえ!ブス魂』。サブタイトルに「コンプレックスとかエロとか三十路とか」とあるように、「人に説明しづらい」職業に就くまでの紆余曲折、葛藤を軽妙なタッチで綴った半自伝的エッセイである。37歳、独身、AV監督、ときどき演出家ペヤンヌマキ。彼女がこの本で訴えたかったこととは……?

――女性として、なぜAV監督という職業を選択されたのでしょうか?

ペヤンヌ:私は九州の田舎の、ごく平凡な家庭で育ち、誰からも注目されないような、ホント地味な子供でした。その反動でしょうか、“特殊な世界”への憧れが人一倍強かったんです。男子とろくに話もできないくせに、山からエロ本を拾ってきてこっそり読んだり、親が隠し持っているAVをこっそり見たりして、エロに関しては興味津々だったことも影響していると思います。AV制作会社のスタッフ募集の記事を見た時に、「エロが仕事になるなんて面白そう!」と思い、応募したことが直接のきっかけでした。

――AV監督である傍ら、演劇ユニット「ブス会*」を立ち上げ演出家としても活躍中ですが、その「ブス会*」というネーミングはインパクト大ですね。

ペヤンヌ:30歳をすぎて男に希望が持てなくなったとき、“女”をテーマにした芝居をやりたいと思って、自分のユニットを立ち上げることを決めました。その頃、AV業界で働く女性たちと定期的に女子会をやって、みんなで男の悪口などで盛り上がったりしてストレス発散してたんです。で、それを周りの男たちが「あいつらまた“ブス会”やってるぜ」と噂するようになって、「私たちブスの集まりではないよね」と言いながらも、「ブス会」という響きがなんだか面白くて、そのうち「ブス会やろうよ」と自ら名乗るようになりました。それをそのままユニット名にしました。

――エッセイでは、そのある意味“特殊”な職業についた経緯について、原動力となったのはご自身の「コンプレックス」だとおっしゃってますが。

ペヤンヌ:幼少期から、特に思春期の頃から、自分が注目されたいのにされない、可愛い子として扱われたいのに扱われないとか、自分の理想と現実のギャップを感じて苦しむことが多かったからだと思います。もともと、いい扱いを受けてきた人は、そういうことで悩むこともないだろうし、人に対しても卑屈な考えを持つこともないはず。私の「自意識」は気づいたら肥大していたんです。そして、それが結果的に“観察眼”を培うことに繋がり、作品づくりの原動力になったと思います。自然と“人を観察する側”に立っていました。やはり自分の思い通りに行かないことが多いと、世間を一歩引いた目で見るような人間になって行くんですかねえ(笑)。

――撮影現場で見てきたAV女優の中にも、「コンプレックス」を抱えていた女子が多かったそうですね。

ペヤンヌ:AV女優になる女のコの中には、胸が小さいことがコンプレックスというコもたくさんいますが、AVにはさまざまなジャンルがあって。ロリータものだと、出ている女優が本物の子供に見えれば見えるほど売れる。そうなると巨乳のコより背が低くて胸がない幼児体型のコが需要があるんです。そういうコは普段の生活では、巨乳でスタイルがよくてセクシーな女性に憧れていて、子供っぽく見られる自分が嫌だというコも多いですが、子供に見えるというだけで仕事がたくさん来ることを知った途端に、輝き出します。ちょっとした仕草や喋り方など、どうやったら子供っぽく見えるのか研究したり、ロリータ好きが喜ぶこと(チンポを見たときに「初めて見た!」というウブな反応をしたり、上目使いで「お兄ちゃん!」と連呼したり)を完璧にマスターしたり。自分のルックスを生かす術を身に着けていきます。また、「女は若いのが一番、歳を取れば取るほど価値が下がる」という固定概念のせいで、女は歳を取ることを恐れるけど、AVの世界だと、熟女ものというジャンルがブームになったり、還暦熟女ものがあるおかげで、どんな歳になっても女として需要があることを知り、救われる。還暦のおばあちゃんになってからAVデビューし、人気者になった女優さんは、グラビアアイドルみたいにいろんなポーズで写真を撮られたり、ナースやメイドのコスプレをしたり、普通の生活をしていたら歳取ってからはできないようなことができて、女としてまぶしいくらいキラキラしてますよ。

――AV業界においては「ルックスがすべて」ではない?

ペヤンヌ:AVの仕事をしていて感じるのは、男って、なんだかんだで「ヤらせてくれそうな女」が好きだということです。いくら美人でも、そういう隙が全くない人は男から敬遠されがち。それと、美人で、男のほうから猛アタックされて付き合ったのに、わりとすぐに飽きられ浮気されるという人は、セックスがあまり上手くないということをよく耳にします。子供の頃から漠然と植えつけられてきた「女は容姿が全て。美人に生まれなかった時点で負けの人生」という思想にブスは苦しめられて来ましたが、エロさえ磨けばブスでも美人に勝てるという希望があり、ブスにとって救いになります。

――「コンプレックス」を武器に換えたペヤンヌマキさんより、今なおコンプレックスに悩む女子に向けて最後にひと言お願いします!

ペヤンヌ:コンプレックスを持つこと、他人に対して劣等感を感じることは、惨めでみっともないことと思われがちですが、そうともかぎりません。むしろそのコンプレックスが自分の個性に繋がることもあるし、それを活用することで、他の誰にもない自分だけの強みを持つことができる。それが仕事に繋がったりもする。コンプレックスにはいろんなヒントが詰まっています。コンプレックスを隠したり、無理やりなくそうとするのではなく、それをちゃんと自覚し、認めて、生かす方法を考えたほうが、勝ちだと思います。

【ペヤンヌマキ】
’76年生まれ、長崎県出身。早稲田大学在学中に、三浦大輔主宰の劇団「ポツドール」の旗揚げに参加。卒業後はAV制作会社に勤務。現在はフリーのAV監督、「ブス会*」主宰の演出家として幅広く活躍中。

<TEXT/女子SPA!編集部>

女子SPA!編集部
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たたかえ! ブス魂~コンプレックスとかエロとか三十路とか~

生きづらい女の道をいかにポジティブに乗り切るか、試行錯誤を重ねる著者の生きざまに、勇気をもらえる一冊です




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