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他人の目を気にして自虐キャラに走るワケ【アラサー女子の哲学入門】

~アラサー女子は哲学者である 第3回~

 アラサーになると、モテ行動に抵抗が出てきてしまうことはないでしょうか? 例えば、LINEのアイコンの変更。いままではアプリで盛った自分の自撮り画像を使っていたのに、急に自撮りをアイコンにしている自分が「うわ……これ痛いヤツちゃう?」と思えてきて、当たり触りのない画像、もしくは完全にネタに走った画像をアイコンにしてしまうことはないでしょうか?

 私のアラサーの友達で、漫☆画太郎先生の『珍遊記』をアイコンにしていた子がいたのですが、おそらくこれは末期の症状だと踏んでいます。

“痛い女”だと思われるのが怖い



『珍遊記』のようにあきらかなネタアイコンでなくとも、可愛いものが好きな自分や、女らしさを出している自分に対し、冷めた目でツッコミをいれてしまう、また痛々しく感じたり。もしくは「周りから痛いやつだと思われているんじゃないだろうか?」と猜疑心が芽生えてくるといったことに心当たりがある方も多いのではないでしょうか。

哲学ナビゲーター・原田まりる

哲学ナビゲーター・原田まりる

 自分の容姿に明らかな変化・劣化がなくとも、仕事場での立ち位置(いつのまにか姉御キャラに仕立て上げられる)、飲み会での立ち位置(この人になら下ネタを振ってもOKというサバサバしたキャラに仕立て上げられる)など、周囲が自分に望む“キャラ設定”が年々変わってきていることは、肌で感じてしまうものです。

 私の場合は背が高いこともあり体育会系にみられるせいか、酒が強い酒豪系姉御という無頼派キャラに仕立て上げられることが多く、お酒があまり飲めないことがわかると、若干周りのテンションが下がるという謎の事態に陥ることがよくあります。

周りが期待するキャラに合わせ、自分を見失う



 このような周りからの“キャラ設定”を期待通りに背負った場合、自分の中の女の部分もしくは、傷つきやすい少女のような繊細な気持ちにフタをして、周りの期待に自分を合わせすぎてしまいます。「自分はアラサーにもなって少女性を残しているような“痛い女”じゃない!」と思うあまりに、自虐的な発言をして「私は痛い女じゃなくて、身のほどを知っているよ!」という態度に出てしまうのです。

哲学入門 しかし、こういった自虐的な態度は、本心というよりも、自分を守るための鎧だったりします。身の程知らずと思われたくない、自分が昔と違うことは自分が一番よくわかっている分、自虐という鎧を纏い、デリカシーのない言葉をかけられたとしても傷が最小限に留まるように、「あらかじめ自分で毒を飲むことで免疫をつける行為」に近いものがあるのではないかと思います。

 他人の目を気にするというのはごくごく自然なことですが、ドイツの哲学者ショーペンハウアーの言葉でこのようなものがあります。

「人は他人に似せることで自分の3/4を失ってしまう」

 ショーペンハウアーの『孤独と人生』という本の中にこのような言葉があるのですが、他人の目を気にし、自分ではない他人になろうとすることで、自分自身をほとんど失ってしまう、というジレンマを表した言葉です。

 自分自身を守るための行為だったはずが、結果的に自分自身を見失うことになってしまうのは、あまりに悲しいことではないでしょうか。自虐的なキャラクターが自分の中から自然と湧き出てきたものではなくて、他人の目を気にしすぎた結果であるならば、わざと自分から“自虐の鎧”を着る必要はありません。鎧を着るより着飾る方が、何倍も楽しかったりするならば、素直に自分を尊重してみてはいかがでしょう。

<TEXT/原田まりる>
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【プロフィール】
85年生まれ。京都市出身。作家・哲学書ナビゲーター。高校時代より哲学書からさまざまな学びを得てきた。著書は、『私の体を鞭打つ言葉』(サンマーク出版)。元レースクイーン。男装ユニット「風男塾」の元メンバー。哲学、漫画、性格類型論(エニアグラム)についての執筆・講演を行う。ホームページ(https://haradamariru.amebaownd.com/

原田まりる
85年生まれ。京都市出身。作家・哲学ナビゲーター。高校時代より哲学書からさまざまな学びを得てきた。著書は、『私の体を鞭打つ言葉』(サンマーク出版)。元レースクイーン。男装ユニット「風男塾」の元メンバー。哲学、漫画、性格類型論(エニアグラム)についての執筆・講演を行う。 原田まりる オフィシャルサイト⇒ https://haradamariru.amebaownd.com/
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