Entertainment

もう、「ブス」イジりでは笑えない。新たな女芸人像とは?

⇒【前編】はコチラ

もう、「ブス」イジりでは笑えない



 かつては「ブス」(あるいは「ブス」に仕立てあげられた人)を「ブス」とイジれば笑いが起きた。だが、女芸人がかつてとは比べ物にならないくらい増えた現在、視聴者はそのイジりに飽き飽きしている。加えて、単なる「ブス」イジりは隅田が嫌がるように、視聴者にも不快感を与えてしまいがちだ。

 だからこそ、単に「ブス」ではなく「ブスが女を気取る」部分をイジるというように視点をズラす必要があるのだ。

新たな女芸人像を打ち出す新世代に期待



 現在ブレイク中で「ブス」イジりのターゲットになりそうなおかずクラブのゆいPも「日刊サイゾー」のインタビューで、「女芸人を容姿や体形の観点で笑うっていう時代も、徐々に過ぎ去っていますしね」という質問にこう答えている。

おかずクラブのゆいP(右)/吉本興業株式会社 HPより

おかずクラブのゆいP(右)/吉本興業株式会社 HPより

女芸人がお互いをブスいじりするようなネタは、飽きられてきてますよ。オーディションでも『またそのネタか』って言われる。『女芸人ね、はいはい自分たちの容姿イジるやつね』みたいな。その時点で、見る気うせるって」

 そして目指す芸人像を「ちゃんとトークで笑いを取れる芸人になりたいです。見た目が面白ければ、まずは面白く感じてもらえるとは思うんですけど、それだけでやっていけるほど甘い世界ではないから」と語っている。

 彼女たちのコントの中では、容姿はフリにすぎず、ツッコミ不在のまま自分たちの自意識や勘違いっぷりをボケにするという独特の世界を作っている。それが今後、テレビのバラエティ番組の中でどのようにいかされていくのかが注目だ。

 また、新たな女芸人像を開拓しているといえば、日本エレキテル連合も忘れてはならない。

日本エレキテル連合のYouTubeチャンネル「感電パラレル」より

日本エレキテル連合のYouTubeチャンネル「感電パラレル」より

「未亡人朱美ちゃん3号」のネタで「流行語大賞」まで獲得し大ブレイクしたが、彼女たちがいわゆる「一発屋」と一線を画しているのは明らかだ。

結局コントをやっていて楽しいのは、自分がなれないものになれるから。ブラックなネタも、現実には無理だけどサイコパスな人になってみたいなと思って作ったりする」

 中野が自著『電気倶楽部』(太田出版)でそう語っているように、唯一無二の世界観で100以上のキャラクターを演じるコントを作り続けている。

 彼女たちの特徴のひとつは、「テレビ的な女性性」(即ち、「ブス」か「美人」か的な価値観)を完全に逸脱しているということだ。「テレビ的女性性」を捨てた上で、「女性」でしかできないコントを演じている。

“分かりやすさ”がテレビの可能性を狭めている



 かつては「女」を捨て、分かりやすい「テレビ的な女性性」をまっとうしなければテレビに受け入れられなかった。けれど、時代は変わろうとしているし、変わらなければならないはずだ。「ブス」と「美人」の間にも女性はいる。むしろ、そちらのほうが多いのだ

 伝わりづらいからと、旧来的な物の見方や価値観で留まっていてはもったいない。そこに大きな可能性は広がっているのだ。

 新たな女芸人たちの意識は確かに変わってきている。イジる側の意識が変わってそれを生かすことができれば、テレビはもっと自由で豊かになるはずだ。

<TEXT/てれびのスキマ>

【てれびのスキマ プロフィール】
1978年、福岡県生まれ、静岡県育ち、福島県在住。テレビっ子。ライター。「水道橋博士のメルマ旬報」「日刊サイゾー」などでテレビ・芸人などに関するコラムを連載中。
ブログ:「てれびのスキマ」http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/
Twitter: @u5u

あなたにおすすめ