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身近な人が「新型うつ」に…周りの苦悩と対処法

 昨今、よく耳にする「新型うつ」という言葉。以前、女子SPA!の記事(※)で、身の回りの人が「新型うつ」を罹ったらどうなるのかを、夫の闘病体験をもとにした漫画『思ってたウツとちがう!「新型ウツ」うちの夫の場合』(秋田書店刊)を上梓した池田暁子さんに伺いました。今回はそれに続き、身の回りの人が「新型うつ」になった際の対処法について話を聞きます。

※前回の記事はこちら⇒http://joshi-spa.jp/31181

思ってたウツとちがう!「新型ウツ」うちの夫の場合

池田さんの著書『思ってたウツとちがう!「新型ウツ」うちの夫の場合』(秋田書店刊)

 まずは、身の回りの人を「新型うつかもしれない」と疑ったら、病院に連れて行ったほうがいいのかという点。池田さんは実体験をもとに、次のように話します。

「うちの夫も最初は『病院なんか行かなくてもいい』ってクリニックに行くのを拒みました。それでも、半ば無理やり連行したんです。あのとき病院に行って、先生に診てもらわなければ、思いきって会社を休むこともできませんでした。

 私の個人的な見方ですが、当時の夫は積み重なった精神的ダメージでズタボロでしたので、病院で診察を受け、一旦休養できたことはよかったのではないかと思います」

 身体の病気とは違い、本人も自覚しがたい病気だからこそ、身近な人の後押しが必要不可欠なようです。

今までの鬱病とは症状も対処法も違う



 従来の鬱病とは違い、「新型うつ」には患者が他罰的になる傾向があるそう。池田さんの場合も夫に責められることが増え、言い返したくなる場面も多かったそうです。

「特に私の仕事について、自分の価値観を一方的に押しつけてきて私を強引にコントロールしようとするので、『私には私の人生があるのに!』と、本気で離婚を考えたこともあります

 かなりストレスが溜まってしまうと思うのですが、そんなときはどうしていたのでしょう。

「当時は私もそうとう参っていて、友人によく愚痴をこぼしていました。でも、うつ関連の本をあれこれ呼んでいるうちに、『どうやらこれは何かの症状らしい』と思うようになりました。おかしなモードになっているときの夫には、何を言い返してもムダということを学びました」

ダイエットが励みになった



 また、食欲がなくなり、体重が減少しがちな従来の鬱病と違って、食欲旺盛になるのも「新型うつ」の特徴。池田さんの夫も、気が付けば体重が増加していたそうです。

「本によると、ドカ食いによる体重増加も『新型うつ』の症状らしいんです。うちの夫も、気付けば体重が8キロも増えていました。精神科のクリニックで受けた血液検査の結果が全体的に悪く、内臓の精密検査を受けた病院でも体重を減らすように命じられましたので、ダイエットをすることにしました。

 夫も数字が減っていくことが励みになったようです。私も、先が見えない中、夫のことでひとつでも前に進んでいることがあるのが精神的に大きな救いになりました」

 二人三脚の甲斐あって、体重も減少し、徐々に健康的な身体になっていったとか。また、「新型うつ」の病状が落ち着いてきてからは、旦那様はご自身の今の気持ちを話してくれるようになったそうです。

散歩をしながらゆっくり話を聞く



「私も一時は夫のことが大嫌いになっていて、ちゃんと話を聞ける状態ではありませんでした。二人で落ち着いて話ができるようになるまでに約1年かかりました。私はとてもせっかちなので、夫の話が途中で止まると、どうしても私が結論を先に言ってしまいがちだったんです。でもそれをすると、せっかくまとまりかけた夫の考えがバラバラにどこかへ行ってしまっているようだと気付いたんです。

 そこで、夫の話が途中で途切れても、じっと我慢して次の言葉をただひたすら待つようにしてみました。そうしたら、じっくりと自分のペースで考えながらちゃんと話してくれたので、自分のせっかちさを反省しました」

 池田さんご夫婦の場合、外を歩いているときの方が落ち着いて話しができたといいます。

「これまでのことやこれからのことの話しは、日常のバタバタの中ではゆっくりできませんでした。うちの場合は自宅ではなく、外をぶらぶら散歩しながら、お店でお茶をしながら、の方が話しやすかった気がします」

 ちなみに、「新型うつ」というのはあくまでも俗称で正式な病名ではありません。池田さんの夫の身体などに現れた症状は、「非定形うつ病」と呼ばれる病気の症状に近かったそうです。現在は、池田さんの旦那様の病状もほぼ落ち着き、また仕事を始めるための活動も少しずつ進めているとのこと。

 身体の病気と違い、心の病は目に見えた病状の改善が分かりにくいもの。少しでも早く治ってほしいと思うのは当然ですが、そうした焦りは禁物なのです。じっくりパートナーと向き合うことが、身近にいる人だからこそできる一番の対処法なのかもしれません。 <TEXT/槍田創 PHOTO/Tyler Olson>

【池田暁子さんプロフィール】
1969年、愛媛県生まれ。女性漫画家・イラストレーター。著書に『片づけられない女のためのこんどこそ!片づける技術』、『貯められない女のためのこんどこそ!貯める技術』、『うっかり結婚生活』など

思ってたウツとちがう! 「新型ウツ」うちの夫場合

大ヒット漫画家・池田暁子がウツに悩む全ての人に包み隠さず語る、笑って怯える赤裸々エッセイコミック




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