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他人のトイレを素手で…お掃除サービス会社で体験したこと

【働く女が見た「お仕事の裏側」お掃除サービス編(1)】

 たくさんの仕事を転々としてきた森尾山(もり おやま)が、実体験をレポートします! お掃除サービスを頼んだことがある人もいるでしょうが、働く側から見たウラ事情は……?

エコにこだわり手袋厳禁!



 掃除……掃いたり拭いたり、ゴミや埃、汚れなどを取り去ること。社会の害悪などを取り除くこと。

 他人様の家を掃除すること、それはもっともプライベートな部分をさっと拭き取る作業と言っていい。私はかつて、さっと拭き取る、という軽いくせに秘密めいた仕事をした。ホームクリーニングスタッフである。

掃除

写真はイメージです

 女性3名が一組になり、1クール2時間~3時間、午前と午後の2回に分けて各家庭を訪問した。キッチン、バス、トイレといった水回りからリビング、寝室に至る隅々まで掃除する。

 私が所属していた会社はエコやスピリチュアルに傾倒していて、洗剤は自然素材にこだわり、それを証明するためにスタッフ達にビニール手袋厳禁を指示するほどの徹底ぶりだった。手荒れしない安全性をアピールしていたのだ。

 さらに「運がつく」からトイレを素手で掃除するのである。理屈はわかるけど他人様の便器に素手を突っ込むのはどうよ? と私は躊躇した。しかし先輩達に「別にいいのよ。無理しなくてもね」となぜか上から目線で言われてしまうと「やります!」とムキになってしまう負けず嫌い気質な私。

 テレビCMじゃないけれど、ブラシでは届かない縁裏や便器の奥、ウォシュレットの入口のブラシでこすったら絶対に水が跳ねるだろ、な部分も素手ならなんのその、バッチイではなくバッチリきれいにできてしまうのである。

 運がついたかつかないか忘れたが、確実にうんこはついたと思う。当時私には彼がいなかったので、間違いなく男運はつかなかった。素手で便器を掃除した女ってことで、なんとなく汚れた女の気分になっていたのだろう。汚れた女、って言葉の響きはかっこいいけれど。

面接はオラクルカードで決めるスピ社長



 私の場合、心の底から掃除が好きで掃除をすると心まで美しく光る気がするんです、というタイプではなく、副業みたいな感じでゆるくやっていたのだが、中には掃除を愛し慈しみ崇拝している人がいる。

 まさに冒頭の、ゴミや埃だけではなく社会の害悪まで取り除くよ! という使命感に燃えた人だ。私が所属していたのは、エコ&スピリチュアルを社訓としていたような会社だ。ゆえに熱くて迷惑な、いや熱くて頼もしい人が多数いた。

 驚くことに、この会社の最終面接はオラクルカードなのだ。オラクルカードとは、人生の目的をリーディングするカードで、イラストとともにメッセージが描かれている。天使、女神、妖精、イルカ等々。

 社長がオラクルカードを引き、芳しくない結果が出たらその場で不採用だ。幸い私は採用されたが、社長を筆頭にスタッフ全員が女性である。良くも悪くも、濃い会社であった。

●もりおやま http://morioyama.com/

●森美樹:1970年生まれ。少女小説を7冊刊行したのち休筆。2013年、「朝凪」(改題「まばたきがスイッチ」)で第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『主婦病』(新潮社)を上梓
https://twitter.com/morimikixxx
●尾山奈央:1980年生まれ。脚本家、エッセイスト。著書に『1年で20キロやせた私が見つけた月1断食ダイエット』(泰文堂)
http://oyamanao.com/

<お掃除サービス編 TEXT/森美樹>




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