Lifestyle

一人親だからこそ叶えたい! 娘の初めてのお願いは…【シングルマザー、家を買う/33章】

<シングルマザー、家を買う/33章>

 バツイチ、2人の子持ち、仕事はフリーランス……。そんな崖っぷちのシングルマザーが、すべてのシングルマザー&予備軍の役に立つ話や、役に立たない話を綴ります。


(前号までのお話)
連載を始めて9カ月。共感してくれる人が増えた一方で、ネガティブな書き込みが減らないことに悩むシングルマザーだったが、攻撃的な中にも心配の表現があることに気づき、ネガティブな書き込みは“不器用すぎる愛”なのだと悟った。

かあちゃんが、なんだって叶えてやる!



 ある日、娘がEテレの『いないいないばぁ』を見て、こうつぶやいた。

「これ、のってみたい!」

 その指がさす先には、気球にのったワンワン。……気球か。

 私はひとつ、離婚した時に決めたことがある。それは、できるだけ、娘と息子がしたいと思うことを体験させてあげることだ。その最初のステップが、気球……。いきなりハードルがだいぶ高い。

 もっと近場の遊園地に行きたいとか、パンケーキ食べたいとか、そんな可愛らしいことだったらすぐに叶えてあげるのに!

 でも、娘ははっきりと、「のってみたい」と意思表示をしてきたのだ。それなら、その希望を叶えてあげるしかない。

「娘よ、この気球に乗るためには、ちょっと時間がかかるけどいい?」

 そう娘(当時4歳)に話しかけると、娘はコクリとうなずいた。そして、「のれるの? ほんとうに!?」とまあるい目をキラキラさせて喜んでくれたのだ。この笑顔を見るためなら、かあちゃん、なんだってやってやろうじゃないか!

 そのままPCを開き、気球と調べると、最初にでてきたのは北海道の文字。ほ……ほっかいどうね。

 我が家があるのは東京だ。北海道まで、飛行機で2時間弱飛ばないと、その地は踏めない。しかし、最短で気球に乗れるのは、北海道くらいしか情報がない。これはどうしたものか。

北の地に住む、まだ見ぬ友達



 そこで、頭に浮かんだのは、SNSで知り合ったアメリカンショートヘア愛好家の友達だった。

 彼女と知り合ったのは、2003年。当時mixi全盛期だった頃、アメショのコミュニティで知り合ったのだ。我が家のプー太郎もまだ子猫で、痩せていて飛び切り可愛かったのだが、この彼女が飼っているアメショも負けじとかわいい。お互い、周りにアメショを飼っている人がいないということで、個人的にメールを交換し、コミュニケーションをとり続けていたのだ。

 その後、お互いに大泉洋とさまぁ~ずが大好きということもわかり、北海道のローカル番組「水曜どうでしょう」をDVDに焼いて送ってくれたり、私が関東ローカルのさまぁ~ずの番組をDVDに焼いて送ったりと、まるで高校生のようなやり取りをしていたのだ。

 これが同じ土地に住んでいたのならすぐに会うことになっていたのだろうが、そこは北海道と東京。さらに私には旦那もいて、生まれたばかりの子供もいて、会うのが難しかったのだ。

 しかし、離婚して身軽になった今だからこそ、この友達に会いたい。こんなにも趣味が合う友達はなかなかいない。そう考えた瞬間、彼女に連絡し、北海道に気球に乗りに行きたいと話すと、すぐさま「バッチ来い!」と快諾してくれ、初めての子連れ遠方旅行が決定したのだ。

シングルマザー、家を買う/33章

いざ、気球に乗りに北海道へ!



 彼女とは会ったことはないが、すでに10年ほどの付き合いがある。昔で言うならペンパルである(懐かしい!)。

 電話で何度も話したこともあり、すでに仲のいい友達のようで、初めて会うのが泊まりの旅行でもなんの不安もなかった。実際、空港で待っていてくれた彼女とはまったく初めて会う気がせず、いきなり抱擁しあい、やっとの対面を喜んだものだ。

 その友達の車に乗り連れて行ってもらったのは、十勝。泊まるホテルの目と鼻の先に、毎朝気球を飛ばしている場所があるという。

 娘はその気球の映像を見て大興奮し、早く乗りたいと叫び出している。こんなにも喜んでくれているのだ。明日は絶対に楽しいに決まってる! そんな期待を胸に、初めての北海道の夜は更けた。

 そして明朝。爽快に晴れた北海道は雲一つなく、まさに気球日和である。朝早い時間に起きた娘と私、そして友達はテンション高くその気球に向かって行った。

 気球を上げている場所に行くと、お客さんは私たちしかいない。この大きな気球と、この大地は私たちの貸切状態なのだ! これぞ、物より思い出! よし、娘よ、思い切りこの体験を堪能して一生の思い出にするんだぞ!

⇒次回「願いが叶う直前でまさかの拒否! 親の心、子知らず」

<TEXT/吉田可奈 ILLUSTRATION/ワタナベチヒロ>

⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】

【書籍『シングルマザー、家を買う』が間もなく発売!】
ご好評いただいている本連載「シングルマザー、家を買う」が書籍化しました! タイトルは同じく、『シングルマザー、家を買う』(扶桑社より、9月27日刊行予定)。シングルマザー生活や家を建てるのに役立つ、書籍オリジナルのコラムも満載です。現在、Amazonで予約受付中!


『シングルマザー、家を買う』【吉田可奈 プロフィール】
80年生まれ。CDショップのバイヤーを経て、音楽ライターを目指し出版社に入社。その後独立しフリーライターへ。現在は西野カナなどのオフィシャルライターを務め、音楽雑誌やファッション雑誌、育児雑誌や健康雑誌などの執筆を手がける。23歳で結婚し娘と息子を授かるも、29歳で離婚。座右の銘はネットで見かけた名言“死ぬこと以外、かすり傷”。Twitter(@singlemother_ky

シングルマザー、家を買う

年収200万円、バツイチ、子供に発達障がい……でも、マイホームは買える!

シングルマザーが「かわいそう」って、誰が決めた? 逆境にいるすべての人に読んでもらいたい、笑って泣けて、元気になる自伝的エッセイ。

あなたにおすすめ