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日給3000円、ネットカフェ難民、33歳。超下流女性の生活

 貧困女性にとっての「最後のセーフティネット」とも評される風俗業界。風俗嬢といえば高給取りのイメージだが、デフレによる価格破壊によって夜の世界に生きる女性たちのあいだで格差が拡大しているという。
超下流女性の生活

※写真はイメージです

貧乏なのに10年以上もヒモの彼氏を養い続け…

 現在、“地雷女だらけの風俗店”として人気を誇る「鶯谷デッドボール」の支店、「池袋デッドボール」で働くアボットさん(33歳)も、格差の底にいる一人。埼玉生まれの彼女が風俗業界入りしたのは18歳のときだ。 「最初は寮付きのピンサロ。一人暮らしができるという甘い考えでした。当時は月に20万円ほどもらっていたんですが……」  そこで3年ほど働くが、「せっかく体を売るなら」とさらなる高みを目指し移籍を試みたのが転落人生の始まり。実入りのよさそうなヘルスやソープランドの面接を受け続けるが、お世辞にもキレイとは言えないビジュアルの彼女を雇う店は皆無に等しかった。 「テイよく断られること20回ほど。運よく合格して採用された店でも、客からのクレームでクビになったり、人間関係を理由に自ら身を引いたり……。もちろん、一般職も志しましたが、工場での流れ作業にもたつきクビになったり、コンビニの面接で落とされたりしました」  結果、月に10万円にも満たない実入りのなか、ヒモの彼氏まで養うという質素で不安定な生活が10年以上も続いた。

貯金の概念がなく、生活費にも事欠く

 そして半年ほど前、そんな生活に飽き飽きしたアボットさんは安定した収入、そして“人並みの生活”を求め夜逃げ同然に上京し、「100%採用」を謳う「池袋デッドボール」の門を叩いたのだった。  貯蓄も拠りどころもない彼女は今、ネットカフェ暮らしに陥っている。1日の暮らしぶりは、朝8時から11時までは、先月から始めたという時給1100円の清掃のアルバイト。その後、13時から23時まで「池袋デッドボール」に出勤し、客からの指名をひたすら待つ。 「あまりにも指名が入らないので、通常70分6000円のところ、店の取り分ナシの70分3000円のキャンペーン価格で案内しています。店は儲かりませんが、取材を受けるなど広告塔の役割を果たしてくれているから持ちつ持たれつということで」と店長は語る。  実入りは日に3000円未満。それでも風俗にしがみつく理由を聞けば、「給料が日払いでもらえ、うまくいけば1万円以上稼げるから」と言う。多くの“下流風俗嬢”を見てきた店長はこう評する。 「要はだらしないんです。彼女たちが風俗から抜けられないのは、一般の仕事だと現金を手にするまでに1カ月のタイムラグがありますよね? 彼女らには貯金の概念もなく、生活費もない。結局、自転車操業に陥ってしまうんです」

生活保護施設並みのケア体制!?

 1カ月前から、店では彼女のネットカフェ難民からの脱出計画が実行されている。貯金箱を用意し、たとえその日の実入りが多くても一日の生活費として3000円しか渡さないなど、強制的に貯蓄をさせているのだ。  計画がスタートして20日が過ぎた今、彼女は計12人の客を取り、稼いだ額は4万7000円。貯金箱に残るのはわずか1万6000円だ。 「でもウチで働いているからには、たとえ貯金箱がゼロになっても絶対に見捨てません。弁当を買ってあげたり、ネットカフェ代を貸してあげたり、女のコたちからは食べ物のカンパがあったりと、なんとか生活させます。将来はケアハウスに住めるよう応援していくつもりです」と店長は生活保護施設並みのケア体制を自認する。  そんな彼女は今日も「プレイ代がホテル代より安いと喜んでくれるお客さんが多いんですよ」と笑顔で客の待つホテルへと向かった。  小銭がびっしりと詰まった「アボット貯金箱」。ここにはアボットさんの自立という夢も詰まっている? ― 女性たちのド底辺生活【5】―
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