“ぽっちゃり女子ブーム”で得するのはデブ専男だけ?
昨今、ゆるやかなブームが続いている、オシャレでカワイイ「ぽっちゃり女子」。「マシュマロ女子」とも呼ばれ、“太っている=醜い”という概念が薄れつつあるなか、先日、ぽっちゃり系男子のファッション雑誌も創刊。“ぽっちゃり”がさらなる注目を集めている。そんな彼女たちの女子会に潜入した。
新宿・歌舞伎町近くの焼き肉店。ガールズバーで働いている美保ちゃん(仮名・26歳)と、事務のパートをしている清美ちゃん(仮名・28歳)。
2人はブログやツイッターで“ぽっちゃり活動”をしている。自撮り写メで「今日のコーデ」を載せたり、「ぽっちゃりオフ会」を主催し、その模様をリポートしたり。ぽっちゃり女子から応援コメントやメッセージが来ると嬉しくて、頑張って更新しているという。
しかし、更新すればするほど、2ちゃんねるでは嵐が吹き荒れる。「勘違いデブ」「巨漢のくせにお洒落すんな」「なにがマシュマロ女子だよ、ただのデブだろ」。「仕方ないんですけどね、実際、デブだし!」と笑う2人だが、最初に叩かれたときは、かなり落ち込んだという。世間の風当たりは暴風圏を抜けたにすぎない。
ぽっちゃりブーム到来後、急に男性からモテ始めたという美保ちゃん。ブログに、「会ってくれませんか?」というメッセージが来たり、勤務先のガールズバーで自分の常連客が増えたり。愛人契約を持ちかけられたこともあるそうだ。
「でも結局、体目当てなんですよ。デブ専の男性たちが、ぽっちゃりブームに乗っかって、言い寄りやすくなっただけだと思います」
注目を浴びたからこそ、さまざまな副作用をも生んだぽっちゃりブーム。このまましぼんでしまうのだろうか。
「太ってることがコンプレックスで心が病んでるコ、すごく多いんです。そういうコたちがせっかく前向きになれたのに、ブームで終わらせてはもったいない!」
そう熱く語る清美ちゃんに対して、美保ちゃんは冷静に反論する。
「正直、続かないと思います。だって、『ぽっちゃりでもお洒落して前向きに!』って言いながら、陰でむちゃなダイエットしてるコいっぱいいますもん。男性も細いコが好きな人が圧倒的に多いし。女性が『痩せなきゃ』って思っているうちは、ぽっちゃりブームは続かないですよ」
思わず頷く記者に、清美ちゃんが続ける。
「2ちゃんで『勘違いデブ』って叩かれますけど、自分から見ても、勘違いしてるなぁと思うコが結構いますね。体重3桁なのに堂々とミニスカとか(笑)。それはまだ許すとして、『ギャルになりたい!』と言いつつ、ジーパン、トレーナー、眼鏡、おまけにピクニックカゴを持っていたり。“やっちまった感”がハンパないですよね~(笑)」
2人が異口同音に語るのは、「ぽっちゃり女子には枠が限られている」ということだった。痩せているコには、お洒落でも恋愛でもチャンスがある。でもぽっちゃり女子には「千載一遇」。限られた枠の争奪戦がぽっちゃり女子たちの中で起こり、格差も生まれているという。
ブームとあっても、すべてのぽっちゃり女子が恩恵を得られるわけではないようだ。
―女性たちのド底辺生活【10】―