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【大島薫さんに聞く】女らしさ・男らしさ・自分らしさって?男性で元AV女優の大島さん

 去年は『アナと雪の女王』の大ヒットで、「ありのまま」「レリゴー」がそこらじゅうでこだましてました。あの映画のテーマは「自分を肯定すること」だと思います。それが多くの人の心を打ったということは、いかに「自分らしく生きる」ことが難しく、そしてそうありたいと思っている人が多いかを実感させられます。

 自伝的フォトエッセイ『ボクらしく。』を上梓した大島薫さんは、生粋の男性ですが、AV“女優”として活動もしていた方です。実際にお会いしてみると、ちょっぴりハスキーな声、少し高めの身長、話に真摯に耳を傾けてくれる姿勢から「かっこいいお姉さん」という感じ。

ボクらしく。

大島薫さん、可愛い…(『ボクらしく。』より)

 男性なのに、AVに女優として出演するという、あまり類を見ない活動をされている大島さん。「人と違うことはいけないことだ」という風潮のある日本で、なかなか勇気のあることではないかと思います。性別に限らず、人がやっていないことをするのには、必ず批判や不理解がつきまとうからです。

 大島さんの著書やブログ、Twitterを見ていると、大島さんの芯の通った生き方が見えてきます。その活動だけではなく、大島さんの発信するメッセージに感動し、取材をお願いしました。

 今回から3回に分けて、大島薫さんインタビューをお送りします。第1回目は、「自分らしく生きること」について聞いてみました。(インタビュー/和久井香菜子)

自分のしたい格好をしているだけ



和久井:大島さんを見ていると「男性」とか「女性」というくくり自体がもう古いのではないかという気になってきます。大島さんは「女装」というわけではないのですよね?

大島:はい、ただボクは自分の着たい服を着て、自分のしたい格好をしています。今日も、トップスは女物ですが、デニムは男物です。ブラもしてませんし……。

和久井:そういう、決まり事にこだわらないところもステキだなと思います。「女物を着るなんて!」とプライドにこだわる男性も多そうです。女は、若いうちは特に好奇の目で見られたり、おっさんからセクハラめいたことを言われたりされたりして、「自分の性」の取り扱いをどうしたらいいのか悩んでいる人が多いと思うんです。

 無理にボーイッシュに振る舞ってみたり、「女としてみられることが苦手」という女子もいますが、大島さんは「男らしさ」「女らしさ」をどうお考えですか?

大島:ボクは、女性になりたいとは思っていません。だからホルモンを打つ予定も、改造を行う予定もないんです。でももし「自分は女性に生まれたかったのに身体は男性に生まれてしまった」ということなら、「女性らしく振る舞おう」という考えになると思います。

 でも女性が男性から「お前は男みたいなもんだからな」っていわれたときに、わざわざ「私は女よ!」なんてムキになって言わないですよね。「そうそう、男みたいでしょ」なんて受け流すでしょう。ボクにはそれが逆に女性であることの余裕だと感じます。

 男っぽく見せたい女性はいても、過剰に女性性を演出しようと考えている女性はほとんどいないと思います。だから「男性らしい」「女性らしい」という区分けは難しいですね。

 ニューハーフさんは「身体は男性だけれども女性になりたい」と思ってニューハーフとして生きることを選んでいると思います。でも「ニューハーフ」と一口に言っても、人によって目指しているものや感覚が違います。さおつき、たまつき、豊胸やホルモン投与の有無、男性が好きか女性が好きか。一口に「ニューハーフだからこうだ」とは言えません。

大島薫さん

取材当日の大島さん

人は「ジャンル分け」したがるもの



和久井:人は、「わからない」「知らない」ことがストレスなので、いろんなことを自分の知っているものに無理矢理当てはめて理解しようとするくせがありますよね。

大島:だから、人のジャンル分けはしないでおこうと気をつけています。ボクはゲイでもニューハーフでもありません。自分がどちらにも当てはまらないと知ったことで、一般の人よりはその世界に詳しいと思っていたんです。

 それでも、実際に当事者の方たちと話していると、ボクの知らないことがたくさんありました。わからないから、知らないうちに彼らをカテゴライズして考えていたなと気付いたんです。もちろん、カテゴリーは理解しやすくするためにあるので、カテゴライズする言葉が浸透したことで社会的な恩恵はたくさんあったと思います。自分の性に苦しむ人も少なくなったでしょう。

 でもセクシャルマイノリティーの世界にいるうちに、MtX(※1)、オートガイネフィリア(※2)といった、もっと細く分類をした言葉をたくさん聞くようになりました。どんなに分類をしてもまだ自分に当てはまらず違和感がある人がいるということです。最終的にはきっと「みんなそれぞれ」なんだと思います。

⇒【後編】他人の意見を気にして生きても、何もいいことはない

<編集部注>
※1 Male to X(男性からX)の略。男性の体で生まれたが、性的アイデンティティが“男女どちらか”ではない人(Xジェンダー)。女性の体で生まれた人の場合はFtX=Female to X
※2 男性が自分自身を女性だと思うことで性的興奮を感じる

撮影協力/プチ文壇バー「月に吠える」
http://bar.moonbark.net/
新宿区歌舞伎町1-1-10 新宿ゴールデン街G2通り
定休日 : 不定休 ※基本的に年中無休
大島薫さんも1日マスターを務めている

<TEXT/和久井香菜子 PHOTO/難波雄史>

⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】

和久井香菜子
ライター・編集、少女マンガ研究家。『少女マンガで読み解く 乙女心のツボ』(カンゼン)が好評発売中。英語テキストやテニス雑誌、ビジネス本まで幅広いジャンルで書き散らす。視覚障害者によるテープ起こし事業「ブラインドライターズ」運営
ボクらしく。 (マイウェイムック)

史上最高にカワイイ男子・大島薫の初フォトエッセイ!
「AV女優」引退後、タレント&執筆活動をメインに再始動した大島薫。
生い立ち、挫折、恋愛などを赤裸々に綴ったエッセイに加え、短編小説も収録。
その上、本人プロデュースによるセルフポートレイトや、 幼少期〜イケてなかった中学時代〜イケメン高校時代、 女装を始めたばかりの初々しい写真なども初公開!
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