老人ホームは色恋沙汰や嫉妬でドロドロ!?【シングルマザー、家を買う/34章・後編】

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「しかもね、老人ホームの方が恋愛沙汰も嫉妬心もドロドロだからね。可奈ちゃん、最近白髪気になるって言ってたでしょ」

 た、たしかに。最近初めて白髪染めを買ったときのあの敗北感! でも、もはやオシャレ染めでは追いつかない。CIELO様様である。

「老人ホームではね、髪の毛ふさふさ、さらに黒々している人はひがまれるから! だから、30代のうちから白髪染めに世話になっている方が将来のステータスになるからね。それか髪の毛は薄い方がスタンダード。ふわふわしていたらやっかみの対象よ!」

 えええええ、そんなん怖すぎる! 老人ホーム、将来の縮図ってそんなんなのね……。

 ひとしきり老人ホームでのことを聞くと、白髪が多くなってきた自分に対して安堵感がこみ上げてきた。なんだこの安堵感……。嬉しいんだか嬉しくないんだか。

「あとね、老人ホームでは、たくさん恋愛している人がいるから、まだまだ先まで心配しなくていいよ

 すごい、すごすぎる、この世界……! でも、なんだかすごい希望が湧いてきた……!

 白髪も薄毛も、全部が全部ステータスになるなんて! さらに、老人ホームで結婚する人もいるらしい。人間、やる気になれば何でもできるようだ。

 とはいえ、そこで必要なのは圧倒的なコミュニケーション能力らしい。お金でも、職種でもない、人間が問われる老人の世界では、その能力が一番試されるんだとか。たしかにそうだよな。

「自分の子は自分で働いたお金で育てたい」など、多くの名言を持つこのケアマネ友達。彼女にまたもや人間の底力を教わった気がして、気が引き締まった。たとえ白髪だらけになったとしても、外見にこだわることなく、ひとりの人間として見てくれる人といつか出会えたらいいねぇ。

 そんな風にいつか来る将来に思いを馳せ、3人でお茶をすすり、最終結論はどうだという話になった。

 しかし、何度考えても、やっぱりどうせならイケメンがいいなと思う私……。自分は人間的にまだまだ未熟なのだなと思いながら、今日も白髪を染めるのであった。

シングルマザー、家を買う/34章・後編

<TEXT/吉田可奈 ILLUSTRATION/ワタナベチヒロ>

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【吉田可奈 プロフィール】
80年生まれ。CDショップのバイヤーを経て、音楽ライターを目指し出版社に入社。その後独立しフリーライターへ。現在は西野カナなどのオフィシャルライターを務め、音楽雑誌やファッション雑誌、育児雑誌や健康雑誌などの執筆を手がける。23歳で結婚し娘と息子を授かるも、29歳で離婚。座右の銘はネットで見かけた名言“死ぬこと以外、かすり傷”。Twitter(@singlemother_ky

※このエッセイは隔週水曜日に配信予定です。

シングルマザー、家を買う

年収200万円、バツイチ、子供に発達障がい……でも、マイホームは買える!

シングルマザーが「かわいそう」って、誰が決めた? 逆境にいるすべての人に読んでもらいたい、笑って泣けて、元気になる自伝的エッセイ。




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