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【大島薫さんインタビュー】男性で元AV女優・大島さんの「人に何をいわれても腹が立たない“考え方”」

 先日、自伝的フォトエッセイ『ボクらしく。』を上梓した大島薫さんは、生粋の男性ですが、AV“女優”として活動もしていた方です。男女の括りや、他人の目にとらわれず、わが道をいく大島さんの考え方とは?

 前回に続いて、インタビュー第2回目をお送りします。
(インタビュー/和久井香菜子)
※第一回「「女らしさ・男らしさ・自分らしさ」って何? 男性で元AV女優の大島薫さんに聞く」

「素敵な仕事だよ」アピールは別にしたくない



和久井:私は、基本的にフリーランスなので、本業と平行していろいろな仕事を掛け持ちすることがあります。それで感じるのですが、「有名企業の肩書きを持つと、周りの人たちの態度がガラリと変わる」ことです。

 なんの仕事を、どんな意志でこなしているかは見えにくく、多くの人は「名前」で人を評価するのだと感じます。ということを考えると、AVのお仕事は非常に偏見が強い業種なのではないかと思います。

『ボクらしく。』より

大島さん(『ボクらしく。』より)

大島:自分がイヤな思いをしたことは特にないですが、ご年配の方になると、AV女優に対する偏見はかなりあると思います。

 でも、例えば世の中のお父さんたちはAVを見てきているわけです。その中にはAV女優さんのイベントに参加したことがある人もいるでしょう。そういう人たちは、ボクたちの職業を否定してはいないと思います。

 でも「自分の娘がAV女優」だと、話が変わってきますよね。だからこれは、当事者と第三者で考え方が変わってくるのではないかと思います。

和久井:確かにそうですね。友人も「自分の娘がなると言ったら反対する」と言っていました。知り合いや家族がその仕事をするのと、その職業を客観的に評価するのとは、違ってくるでしょうね。

大島:ボクはまだ会ったことはないですが、AV女優をしているというだけで、人格まで否定する人もいるかもしれないですね。でも、どこで誰がなんの仕事をしていても、第三者には関係がないことです。

 ただ間違いなく、AV女優やAV男優は「親が子どもになって欲しい職業のナンバーワン」ではないとは思います。

和久井:仕事とは「関わった人たち全員にメリット(金銭的や経験的に)があること」で、自分に迷惑がかからなければ「誰が何をしようが否定する理由はない」のだと思うのですが……。「自分の考えと違う」だけで他人を否定する人がけっこういる気がします。

大島:そうですね、ただ、世の中の秩序が乱れたり、悪意があると判断されると、AVを仕事にしている人に対して嫌悪感を抱くのかもしれません。

 同業者の知り合いや友人のSNSを見ていると、「AV女優ってみんなが思うより素敵な職業なのに、なかなか理解されない」「もっと理解してもらえるように頑張ろう」といったことを書いている人がいます。

 気持ちはわからないでもないですが、ボクはそう書いていること自体に疑問を持ってしまうんです。だって現実には「AVの仕事は素敵だ」と思われていないということですよね。それをわざわざSNSに書かなければいけないのなら、もう普通の職業ではないと思う。

 でもボクはそういうふうに自分の考えを主張するのに抵抗があるので、彼らの主張に違和感を感じてしまうのかもしれません。

「自分らしさ」と「気遣いのないヤツ」の違いは?



和久井:「人それぞれ」「すべての人がマイノリティ」という意識が浸透したら、自分を主張することもしなくて済むようになるのに。

 「自分らしく」行動することと、「人を気遣う」ことは、バランスというか境界線が難しいように思います。どういうことが「自分らしく」で、どこから先が「空気を読めない」なのか。

 大島さんはどうお考えですか?

大島薫さん大島:空気が読めなかったな、失敗したな、と思うことはそんなにないです。むしろ「伝え方を間違えたな」という感じ。自分の考えは間違っていないけれど、伝え方が悪かったなと思うことはたくさんあります。

和久井:「伝え方」も「人の話を聞く」ことも、どちらも技術のいることですが、それを認識している人は多くないと思います。

大島:伝わらなかったから問題が起こったのに、考え方が間違えたと勘違いしてしまうんです。それはいつしか「無難な答えにしておこう」「みんなが賛成する方へ無理に合わせよう」という方向へ向かってしまう気がします。

 そうなると、伝え方のうまい人や、声の大きい人が勝ってしまう。でもそれってどうなんでしょうか。ボクも、自分の考えを主張して人を牽引したいという気持ちはないわけではないけれど、そもそも自己主張するつもりがないんです。「世界はこうあるべき」だなんて思っていないから

和久井:そうなんですか! 私は「こうあるべき」がいっぱいあるような気がします。でもそう思っていると、いろんなことに腹が立つんですよね。

大島:あくまで考え方や感じ方は人それぞれでいいと思っているんです。だから人に腹を立てることはほとんどないです

⇒【後編】「ブラック企業に勤めて学んだこと「部下は上司のクローンでいい」」に続く

撮影協力/プチ文壇バー「月に吠える」
http://bar.moonbark.net/
新宿区歌舞伎町1-1-10 新宿ゴールデン街G2通り
定休日 : 不定休 ※基本的に年中無休
大島薫さんも1日マスターを務めている

<TEXT/和久井香菜子 PHOTO/難波雄史>

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ボクらしく。 (マイウェイムック)

史上最高にカワイイ男子・大島薫の初フォトエッセイ!
「AV女優」引退後、タレント&執筆活動をメインに再始動した大島薫。
生い立ち、挫折、恋愛などを赤裸々に綴ったエッセイに加え、短編小説も収録。
その上、本人プロデュースによるセルフポートレイトや、 幼少期〜イケてなかった中学時代〜イケメン高校時代、 女装を始めたばかりの初々しい写真なども初公開!
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