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猫も人もハッピーな街を作るには?吉祥寺の場合

 去る2015年10月、「吉祥寺ねこ祭り」が1か月にわたって行われました。多くの店、団体、住民らが参加して、数十ものイベントが開催されて盛況だったそうです。

吉祥寺ねこ祭り“猫にやさしい吉祥寺”を支えるのは、祭りにも参加した「むさしの地域猫の会」。2006年から、武蔵野市を中心にがんばっているボランティア団体です。

「地域猫」とは、地域の人たちがきちんと世話している“飼い主のいない猫”たちのこと。でも、ボランティア等のウルトラ地道な努力がなければ、飼い主のいない猫は安全に暮らせません。

子猫

むさしの地域猫の会で保護した子猫

 人と猫がハッピーに暮らす街にするには、どうすればいいのか?「むさしの地域猫の会」の代表・西村麻衣子さんに話を伺いました。インタビュアーは、『迷子のミーちゃん ~地域猫と商店街再生の物語~』(映画『先生と迷い猫』の原案本)の著者である木附千晶さんです。

飼い主のいない猫をみんなで一生世話する



木附:以前は、外でのんびり日向ぼっこしている猫を見ると「平和だなぁ」とあったかい気持ちになっていたのですが、ミーちゃんが刃物で傷つけられたり、遠くに捨てられたりという事件があって、外で暮らす猫の現実を知りました。

 ミーちゃんは不妊手術を受け、みんなで世話している猫だったのにそんな危険な目に遭っていたのです。

 やっぱり、野良猫より地域猫になった方が安全なのでしょうか。

西村:外で暮らしている限り危険性は絶対にあります。でも人間がきちんと世話をすれば猫が迷惑をかけることが減りますから、猫を嫌がる人も減って、危険な目に遭うことも防げるはずです。

猫クッキー

「吉祥寺ねこ祭り」で同会が販売したチャリティ猫クッキー

木附:「むさしの地域猫の会」ではどんな活動をしているんですか?

西村:飼い主のいない猫の去勢・不妊手術をするTNR活動(※)と、ゴハンやトイレの世話が基本です。毎月、猫の譲渡会もやっています。それから、飼い主のいない猫の世話をするときのマナーを伝えたり、去勢・不妊手術をしようという人に費用の助成もやっていますね。

※TNR活動
 住民とボランティアが協力して野良猫を捕まえ(Trap)、不妊去勢手術を施し(Neuter)、元の場所に返す(Return)活動。不妊去勢をした印として耳先にV字カットを入れるが、全身麻酔の際に行うので痛みはない。手術時にワクチンやノミ駆除薬の投与などを行うこともある。

⇒【写真】はコチラ http://joshi-spa.jp/?attachment_id=391973

TNR

不妊・去勢手術した猫は耳をカット(麻酔中なので痛くないよ!)

木附:とっても幅広く活動されていますよね。いったい何人で活動しているのですか?

西村:会に登録している会員は300名超ですが、日常的にTNRなどの地域猫活動をしているのは5名ほどです。

木附:たった5人ですか!? ホームページを拝見すると毎月譲渡会を開いているし、チャリティグッズを製作・販売したり、「吉祥寺ねこ祭り」など大きなイベントにも積極的に参加されていますよね。どうやったら5人でできるんでしょうか。

写真コンテスト

「吉祥寺ねこ祭り」で同会が行った「地域猫・保護猫出身 ウチの子自慢写真」展は、ユニクロ吉祥寺店が協力して会場になった

西村:日常的にはできなくても、イベントのときに手伝ってくれるボランティアの方がいらっしゃいますし、譲渡会では、武蔵野市以外の地域でも個人で猫の保護活動をしている会員さんが保護猫を連れて参加したりしますから。

木附:そうだとしても日頃のTNRと餌やりだけでも大仕事じゃないですか。そもそも猫を捕まえるって、本当に大変なことですよね。

西村:幸い、うちの会には猫を捕まる名人がいて、地域住民の情報をもとに何日間も、それこそ朝も夜中も無く張り込んで捕まえたりしてくださっています。

 餌やりは毎日のことですから、確かに旅行にも行けませんね。

 でも、「地域猫にゴハンを届け、一生世話をし続けること」こそ、外で必死に生きている小さな命を守る地域猫活動の根幹だと思っていますから。

トーラ

死にかけて小バエがたかった状態で保護された子猫。ボランティアさんの看病で元気に!

殺処分される猫が大幅に減った



木附:活動の効果は実感されていますか?

西村:「猫によるトラブルを無くし、人と猫が快適に共存できる街」を目指して「むさしの地域猫の会」がスタートしたのは2006年9月ですが、それ以前は繁華街やお寺、井の頭公園なんかに山ほど野良猫がいました。

 市役所の方に聞いた話だと、当時は武蔵野市全体で70匹から80匹もの猫が殺処分されていたそうですが、今は一ケタ台だそうです。

木附:それはすごい! 譲渡会での実績もかなりのものなのでしょうか。

西村:毎月20匹から30匹は、里親さんが見つかりますね。ホームページを見て希望される方もいます。

地域猫

上記の写真コンテストで1位に選ばれた地域猫の写真

木附:多いですね。本当にとっても上手に活動をされていますが、何か“うまい活動のコツ”があるんでしょうか。

西村:やはり自治体と一緒にやっていくということでしょうか。私たちの会への問い合わせ先は「武蔵野市環境政策課」になっています。「窓口が市である」ことで地域住民の信用は格段に上がるし、協力してくれる人も増えて、情報提供もしてもらいやすいです。

 地域猫活動をされるなら、実績をつくって自治体を巻き込んだほうが絶対に得策です。

西村さん

「むさしの地域猫の会」代表の西村さん

●次回につづく

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【むさしの地域猫の会とは】
東京都武蔵野市を中心に、武蔵野市と協働で地域猫活動を推進しているボランティア団体。市の補助、会費、寄付、募金、チャリティグッズの販売などで運営されている。HPには里親募集中の猫写真も
http://www.musashinoneko.com/

※ノラ猫との付き合い方も一読を!
http://www.musashinoneko.com/%E3%83%8E%E3%83%A9%E7%8C%ABq-a/
困ったら、自分の住む地域のボランティアグループを探して相談しましょう!

<TEXT/木附千晶>

⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】

木附千晶
臨床心理士。IFF CIAP相談室セラピスト。子どもの権利条約日本(CRC日本)『子どもの権利モニター』編集長。共著書に『子どもの力を伸ばす 子どもの権利条約ハンドブック』など。著書に『迷子のミーちゃん 地域猫と商店街再生のものがたり』など。
迷子のミーちゃん~地域猫と商店街再生のものがたり~

再開発が進んで寂れてしまった、日本のどこにでもあるような商店街に住み着いていた地域猫のミーちゃん。ところがある日、ミーちゃんは行方不明になってしまいます。いなくなってからわかった、小さな存在が私たちに教えてくれたこと…。




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