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5歳で“オタ芸”にめざめた息子。早すぎ?【シングルマザー、家を買う/39章】

<シングルマザー、家を買う/39章>  バツイチ、2人の子持ち、仕事はフリーランス……。そんな崖っぷちのシングルマザーが、すべてのシングルマザー&予備軍の役に立つ話や、役に立たない話を綴ります。前号までのお話) 保育園はスカート禁止。しかし、嘘をついてスカートを穿こうとした娘に「嘘ポイントがたまると地獄に行く」と言うと、娘は泣きじゃくりながらすぐに嘘を認めた。子どもに対する地獄の効き目のすごさを知ったシングルマザーだった。

知らない人におねだりする息子

 息子は5歳になった今も、言葉を話せない。  とはいえ、意思表示は誰よりも強く、さらに腕の力がつき、聞いている相手を思い通りに動かそうと引っ張って連れていくので(世に言うクレーンという行動ですね)、大人でさえもその力に抵抗するにはなかなか大変なもの。  しかし、ジェスチャーが大きく、愛嬌もあるので、だいたいの人に「これしてほしいの?」「これ食べたいの?」と意思が伝わるのだ。  以前、スーパー銭湯に行った時はこんなことがあった。私と娘が髪を乾かしている間、息子は私の腕のなかからするりと抜け出すと、自販機のところにダッシュをし、近くにいたおばちゃんの手をひっぱった。そしてそのまま飲むヨーグルトのボタンまで誘導し、両手を合わせてお願いのポーズを披露してしまったのだ。しかも、愛嬌あふれすぎる笑顔で。おい、知らないおばちゃんにいきなりねだるな。 シングルマザー、家を買う そこにいたおばちゃんはとってもいい人で、「あはは。そんな可愛い顔でお願いされても困るなぁ~!」と相手をしてくれ、焦って近づいた私に「あともう少しおねだりされたら買っちゃうところだったわ」とも言ってくれた。ほんと、世の中いい人が多い。  しかし、外でこれを繰り返されては困る。そこはしっかりと叱り、「おねだりはママにだけしなさい」と言うと、右手を高くあげて「あーい!」と唯一話せる言葉と共にニコリと笑顔を返してきた。もうこれには降参である。

息子の好きなこと探し

 よく、こんな姿を見ている友達たちは、「息子くんには、言葉はなくても、何かがあるような気がするけどね」と言ってくれることが多い。たしかに、五感のどこかが鈍ったり、機能が低下したりすると、その他の場所が驚くべき発達をするということを聞いたことがある。  療育や病院などで相談したときにもよく言われるのは、「息子君の好きなことを伸ばしてあげましょう」というものなのだが、それを見つけるのは至難の業。言葉を持たない息子だからこそ、かなり難しい。だって、「何が好き」と言ってくれないのだから。  これはもう、息子の反応で知るしかないと思い、旅行や遊園地、映画にコンサートなど、様々な場所に連れていくことにした。基本的にアクティブな私は、それが楽しくて仕方ないので、大変ということはなかった。しかも、行く場所、行く場所で娘と息子は期待以上の楽しみ方をしてくれる。どんな場所でも楽しいものを探し、キャッキャキャッキャと喜んでくれるのだ。  しかし、ある場所だけ、息子が確実に、異常に楽しむ場所があったのだ。それは、“ライブ”。

息子の知られざる才能

 私の仕事は音楽雑誌に原稿を書くことが多いので、必然的にライブに足を運ぶことが多い。多いと週に3回ということもザラ。出産前はライブがない日がないくらい足を運んでいて、年に250回というのも普通の量だった。今はそこまで足を運ぶことはできないが、それは仕方のないこと。何かを得たら、何かを捨てなければならない。  とはいえ、現在も土日にライブが重なることが多いので、その時は編集さんやレコード会社の方のご厚意で子供たちを同行させることができるのだ。しかも、連れていくのは関係者席に座席があるタイプのライブハウスやホールなどが多いので、子供たちの負担もとても少ないし、とても見やすい。この融通の利く対応は、心から感謝してもしきれない。  おませな娘は、ライブを観て、衣装がかわいいとか、アイドルのあのコがカッコいいなど、最初からミーハー全開でライブを楽しみ、知らぬ間にマニアックなギターロックの歌を口ずさんでいたりと、いい情操教育になっている気がする。  しかし、息子は違う。ひと言でいうと、アメリカンなのだ。  まず、アーティストが登場すると「フォー!」「オー!」と大歓声をあげ、拍手を欠かさない。照れなんてひとつもない。とにかく面白いと思ったことに対し拍手をし、音楽が鳴れば両手を上げ、驚くほどのジャンプを見せ、ノリノリで頭を振る。  以前、ビジュアル系のライブを見に行った時には、荒れ狂うバンギャのヘドバンに交じって頭を振り出し、テンションMAX。アイドルライブの特効で銀テープが落ちてきたときは、驚くほどの速さでテープを握りしめ、それを振り始めたのだ。  ……どこで覚えたのだ、そのオタク作法……。 後編『「アイドルフェスで才能が開花!? 完璧すぎる息子のオタ芸」』では、オタ芸のパフォーマンスにより、しゃべれなかった言葉まで発せるように!?後編もお楽しみください! <TEXT/吉田可奈 ILLUSTRATION/ワタナベチヒロ> ⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】 【書籍『シングルマザー、家を買う』、好評発売中!】 ご好評いただいている本連載「シングルマザー、家を買う」が書籍化しました! タイトルは同じく、『シングルマザー、家を買う』(扶桑社)。シングルマザー生活や家を建てるのに役立つ、書籍オリジナルのコラムも満載です。 『シングルマザー、家を買う』【吉田可奈 プロフィール】 80年生まれ、フリーライター。西野カナなどのオフィシャルライターを務める他、さまざまな雑誌で執筆。23歳で結婚し娘と息子を授かるも、29歳で離婚。座右の銘は“死ぬこと以外、かすり傷”。Twitter(@singlemother_ky
吉田可奈
80年生まれ。CDショップのバイヤーを経て、出版社に入社、その後独立しフリーライターに。音楽雑誌やファッション雑誌などなどで執筆を手がける。23歳で結婚し娘と息子を授かるも、29歳で離婚。長男に発達障害、そして知的障害があることがわかる。著書『シングルマザー、家を買う』『うちの子、へん? 発達障害・知的障害の子と生きる』Twitter(@knysd1980
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シングルマザー、家を買う

年収200万円、バツイチ、子供に発達障がい……でも、マイホームは買える!

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