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エアリーどころじゃない軽さ!富山銘菓「月世界」/カレー沢薫の「ひきこもりグルメ紀行」

カレー沢薫の「ひきこもりグルメ紀行」Vol.20 富山県「月世界」】 月世界 今回のテーマ食品は受け取った時点で「おかしい」と思った。  異臭がしたとか開ける前から何かの汁が出ていたとかではない。  むしろ「何か入っているのか?」と思った。  異常に軽いのである。  少なくとも食品の重さではない。感触としては発泡スチロールが入っているとしか思えないのだ。

今回の食材は「発泡スチロール」である

 というわけで今回の食材は「発泡スチロール」である。  発泡スチロールは味は特にしないのだが、ご存知の通り発泡スチロールをこすり合わせると、生理的に不快な音がする。よって口に入れて噛むと、あの不快音がダイレクトに脳に響くため、食べ物としては☆1だ。  ただしあの音に対し性的興奮を感じるという者にとっては☆5、リピ確定である。
箱入り月世界

写真は楽天市場販売ページより https://item.rakuten.co.jp/hyakuyoko/17058c004/

 つまり発泡スチロールを食ったことがあるわけだが、今回送られてきたのは当然発泡スチロールではない。

第一印象では「パンチが効いてなさそうな菓子だ」

 今回のテーマは「月世界(つきせかい)」だ。  この月世界、20センチぐらいの箱に入っていたのだが、冗談ではなく箱の重さぐらいしか感じない。  開けて見ると、長方体の白い菓子が出てきた。装飾は一切ない。徹頭徹尾白い長方体だ。実にシンプルである。  落雁(らくがん)のようにも見えるが、落雁より遙(はる)かに軽い。
月世界

写真はぐるなび運営サイト「接待の手土産」より https://temiyage.gnavi.co.jp/item/00000047/

 正直、第一印象では「パンチが効いてなさそうな菓子だ」と思った。霧か霞を食って生きている奴の主食、という感じがする。  しかし、食べてみると、想像以上にしっかりした甘味なのである。  まず、その軽さどおり、食感が非常にサクサクしている。しゃらくさい言い方をすればエアリーだ。  そして味だが、もちろんチョコや生クリームのようなバイオレンスな甘さがあるわけではない。だが失恋したての奴が「優しい味……」などと言うような気の抜けた甘さでもない。コクがある。
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「リアル山吹色のお菓子以外贈るな」という家訓とは…
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