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ひ弱な怠け者にぴったりのピラティス、基本のき/漫画家・松井雪子

 漫画家として『家庭科のじかん』『マヨネーズ姫』などたくさんの作品を生み、芥川賞候補作家でもある松井雪子さん。15年ほど前にピラティスを始めて、今ではなんとインストラクターだそうです。そこで、ピラティスの魅力と超基礎を教えてもらいました(以下、松井さんの寄稿) 松井さんの本

漫画家、ときどき作家。松井雪子、ピラティスはじめました

 こんにちは。松井雪子です。漫画家、ときどき作家です。  漫画家になったのは、学生のとき。就職を前にして、「家でできる仕事がしたい」、その一心で漫画家に。  なぜ家でできる仕事をしたかったのか。  それは当時、とってもひよわだったから。友人にコンサートに誘われても元気に立っているのは最初の10分だけ。あとは座り込んで酸素不足の鯉のように、口をぱくぱくさせていた。海水浴に行っても、日光にあたると疲労困憊するため、頭からくるぶしまで大判のタオルにくるまり、ミイラ女のような状態に。青春を謳歌するには、どっちらけの人生で、長く生きる自信が、まったくありませんでした。

ひよわだったころの私

 さて漫画家という職業は、ひよわな私には最適でした。それはたくさんゴロゴロできたから。  私の漫画家生活はこうでした。  布団のなかでアイデアを考え、「デキた!」と思ったら、布団からずるずると脱皮するように這い出て、机に向かって絵を描く。「好きなだけ寝て起きて描いて」、生計がなりたった。ほんとうによい職業につけたと思いました。  漫画家を11年ほど続けたころ、左半身を強くぶつける怪我をしました。今までのように快適に机に向かうことができる日はこないと思ったので、寝ながらできることを考えた。そこで小説を書き始めました。  キイボードを打つ作業は、寝ころがりながらでもできるだろう。私の読み通り、漫画家より、作家のほうがはるかに楽ちん! というすてきな事実を身をもって知りました。   小説は「ず~っと寝たまま書ける」のでした。  私の執筆スタイルは、こうです。  布団の上で枕ふたつ重ねて上体を起こす。ひざ三角にたてて、ももの上にパソコン。そのまま指先でキイボードをパコパコ打つ。ときどきうっかり居眠りしてしまうけど、よだれを拭けばだいじょうぶ。この体勢だと何時間でも、何十時間でも、書き続けることができた。  災い転じて福となる。さらに楽な道を見つけることができて、ほんとうにしあわせでした。

まわりをみないで、自分のペースを大切にするピラティス

 漫画家と作家生活で弱いカラダをさらに甘やかした結果、どんどん体力が落ち、筋肉が退化しました。  駅の階段をあがるのがつらい。立っているのも面倒。昔の火星人想像図みたいなかんじです。頭でっかちで、ひょろひょろ手足が生えているような。何か運動をしなければ、地球に棲み続けることができない……。  せっぱつまった状態で始めたのが、ピラティスでした。テニス教室に通ったり、水泳やランニングもためしてみましたが、私にはピラティスがいちばんしっくりきた。  ピラティスには、たくさんのキーコンセプトがあります。そのひとつに、「他人と自分をくらべない」というニュアンスのものがあります。グループレッスンのときに、よく耳にする言葉です。 「まわりを見ないで、自分のペースで動きましょう」。

ピラティスのおかげで人生で一番元気な私

 自分のペースで動くことが大切で、途中で休んでもいい。他人と競わず、比較しない。自分の動きに集中しよう。無理せず、自分ができることをやる。おおらかに自分を肯定しよう、ということです。ふだんの暮らしのなかでも、実践できたらすてきですね。 「好きなだけ寝て起きて描いて」の漫画家生活。「ず~っと寝たまま書ける」の作家生活。自分のペースを大切にするピラティスは、なまけものの私にぴったりだったのかもしれません。
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ピラティスの基本のき、「立ち姿勢」
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