6月も最終週を迎え、2018年4月クールのドラマがすべて最終回を迎えました。そこで、今クールも僭越ながら、わたくしドラマウォッチャーの中村裕一が春ドラマベスト3を選ばせていただきました。 　みなさんの評価はいかがでしょうか？ 　第3位はゲイアーティスト・田亀源五郎の漫画が原作の『弟の夫』。もともとBSプレミアムで3月に放送された作品ですが、視聴者からの反響を受けて5月4日（金）、NHK総合で全3話がまとめて再放送されたので選ばせていただきました。 　ストーリーはある日、小学生の娘・夏菜（根本真陽）を男手ひとつで育てる弥一（佐藤隆太）を、カナダで亡くなった双子の弟・涼二（佐藤・二役）の同性婚の相手、マイク（把瑠都）が訪ねるところから始まります。 　男性同士の恋愛を描き、春クールで話題となった『おっさんずラブ』（テレビ朝日系）を“動”とするなら、この『弟の夫』は“静”と言えるでしょう。 　ゲイに対して偏見を持っていた弥一のマイクへの戸惑いと、弟を受け入れられなかった後悔が入り混じった複雑な心情の変化を、佐藤が繊細なタッチの芝居で表現。絶妙なキャスティングともいえる把瑠都（バルト）の素朴なたたずまいも安定感がありました。

マイク デビューせん でした。
しゃしん で つたわりますかね？
そんな あたたたかい ドラマ に なってます。

たがめ せんせい ありがとう。
さとうさん ありがとう。 pic.twitter.com/0jEde8URWJ

— 把瑠都 (@Baruto_official) 2018年2月22日

　同性愛に限らず避けては通れない家族との関わりを交えながら静かなトーンで優しく綴り、それでいて見る人にしっかりと問いかけたドラマだったと思います。 　第2位は『あなたには帰る家がある』（TBS系）。山本文緒の小説を原作に、中谷美紀＆玉木宏、木村多江＆ユースケ・サンタマリアの2組の夫婦が繰り広げる、不倫あり離婚あり夫婦交換ありサスペンス？ありの異色ホームドラマでした。 　物言いがストレートすぎる真弓（中谷）、優柔不断なダメ男の秀明（玉木）、何を考えているのかわからない太郎（ユースケ）、不倫相手である秀明を一心不乱に追い続ける綾子（木村）と、中盤まではそれぞれのキャラクターがクローズアップされましたが、第10話で太郎の息子・慎吾（萩原利久）が実の息子ではないことが発覚します。彼はなんと綾子と彼女の姉の結婚相手（つまり義理の兄）との間に生まれた子どもだったのです。

10話ここまでのおさらい
頑張れナス坊(＞＜)
陸上部時代の掛け声を思い出して#あな家 #あなたには帰る家がある pic.twitter.com/lxhpjxUYV7

— 【公式】金曜ドラマ「あなたには帰る家がある」 (@anaie_tbs) 2018年6月15日

　しかし、綾子の母の葬式の席で太郎は堂々と「うちの大事な一人息子です」と慎吾を本当の父親に紹介し、「自由になれ」と綾子に離婚届を渡します。そしてその背中に向かって「父さんと暮らす！」と叫ぶ慎吾。 　結婚指輪を池に投げ捨てた太郎は、真弓に「俺が育てたんだから、俺の子どもだ」と泣き伏します。この一連の流れは「もしかして主役はユースケ!?」と思えるほどの名シーンでした。

最終回ここまでのおさらい
ナス坊が真弓をランチ誘ったLINEで発覚！本家ナス坊も絵文字を使用#あな家 #あなたには帰る家がある pic.twitter.com/diFuZRDqgm

— 【公式】金曜ドラマ「あなたには帰る家がある」 (@anaie_tbs) 2018年6月22日

　最終回では太郎と綾子は元のサヤに収まり、離婚した真弓と秀明は新しい関係性を模索する、というエンディングが提示されました。山あり谷ありの全編を通じ、“夫婦”そして“家族”のカタチについて考えさせられる作品だったと言えます。