睡眠中の靴下も湯たんぽもNG。不眠になる“冷え対策のまちがい”
朝晩がぐっと冷え込むようになり、冷え性の女性にとってはつらい季節の到来です。
足が冷えて眠れないので、寝る直前にお風呂で体を温め、足元はしっかり靴下で防寒。湯たんぽを抱いて寝るなど、なんとか体を温めて寝ている人も多いのではないでしょうか。
でも、この「冷え対策」は睡眠の観点からはすべてがNG! 寝つきが悪くなるなど、睡眠の質を下げて、疲労や肩こり、肌トラブルなどの原因になるというのです。では、どうすればよいのでしょうか。
『1万人を治療した睡眠の名医が教える 誰でも簡単にぐっすり眠れるようになる方法』(アスコム刊)の著者である、睡眠専門医の白濱龍太郎先生(「RESM新横浜」院長)に、いい睡眠のための冷え対策を聞きました。
「人間の脳は、深部体温という内臓などからだの内部の体温が下がったときの温度の高低差で、眠気が出るように性質があります。ですから、寝床では、体の熱を放射して、深部体温を下げなければなりません。
体内の熱を最も放射するところは、手足です。そのため、靴下を履いて寝ると放射された熱がこもり、体内の熱が逃げにくくなります。さらに靴下の重ね履きなどをすると、もう最悪。足が締め付けられ、血流が悪くなり、熱がさらに逃げにくくなってしまうのです」(白濱先生)
同じ理由で、湯たんぽや電気あんかも避けましょう。どうしても冷えが気になるときは、湯たんぽや電気あんかを直前まで入れておき、寝る前に取り出します。
前回の記事で紹介した、白濱先生おすすめの「ぐっすりストレッチ」も、この深部体温が下がると眠気がでる性質を利用しています。合計3つのストレッチを1分ずつ行うのですが、深部体温の高低差がつきやすくするために、STEP1とSTEP2で深部体温を一度上げ、そしてSTEP3で熱が手足から逃げやすくなるストレッチなのです。
「また、寒い体を温めるためにお風呂に入ることは、深部体温を上げてくれるので、非常によいことです。ただ、問題なのはその時間。お風呂で上がった深部体温が下がるまでにかかる時間は、大体1時間~2時間程度です。寝る直前に入ってしまうと、深部体温が下がるまで時間がかかるので、かえって寝付きが悪くなります」(白濱先生)
また、忙しい現代のライフスタイルでは、「お風呂に入らずシャワーだけ」という人も少なくありません。そんな人こそ、シャワーとストレッチで深部体温を上げる「ぐっすりストレッチ」がおすすめだそうです。
寒い夜にやってしまいがちな失敗が厚着。これも厳禁です! 体温がこもってしまうだけでなく、自然な寝返りがうてなくなってしまいます。
「寝返りは、レム睡眠とノンレム睡眠を切り替えるスイッチとなり、睡眠のリズムをコントロールします。また、体のゆがみを矯正したり、一定部分にたまった血液やリンパ液を循環させたりする役割も。
そんな大切な寝返りができなければ、肩こりや腰痛など、体の不調の原因になりかねません。適度な寝返りは、安定した睡眠には欠かせないものなのです」(白濱先生)
Contents
睡眠NG1:靴下や湯たんぽは「熱の放射」を妨げる
睡眠NG2:寝る直前の入浴は、かえって寝付きが悪くなる
睡眠NG3:厚着で寝ると寝返りが打てず、肩こりや腰痛の原因に
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