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乙女の胸を突き刺す不思議な愛の物語『薔薇を脱ぐ』 の著者が語る「呪いとしての愛」とは?

 2018年ももうすぐ終わりですね。  今年はどんな1年だったでしょうか。恋をした人、恋をなくした人、迷っていた人、いろいろだったと思います。もし今、恋をなくして泣いている人や、恋を探してさまよっている人がいたら、是非読んでほしい絵本があります。  近年、若い女のコの間で熱烈なファンを生み出し、人気上昇中のイラストレーター・majoccoさんの『薔薇を脱ぐ』です。 「薔薇を脱ぐ」って、よく考えたら意味がわからないけど、でもわかるような気もする、不思議なタイトルです。
『薔薇を脱ぐ』majocco著/千倉書房刊/本体1600円+税

『薔薇を脱ぐ』majocco著/千倉書房刊/本体1600円+税

物語に隠された強烈なメッセージ

この絵本には、宝石のような3つの物語が描かれています。 「恋のある日」は、モアイと恋に落ちた女の子の物語。 「お姫さまにならない」は、童話の中のお姫さまたちを通して私たちにかけられている魔法について。 「みにくい薔薇」は、正しい国の、みにくい薔薇のお話。  どれもちょっと不思議だけど、とても胸に刺さるお話ばかりです。  なぜ胸に刺さるのでしょう? それは私たちが普段感じている苦しみや、心細さを物語の言葉で訴えているからです。 「くちびるの色は移る、熱も誰かと分けあえる」 「恋という字が攻めてくる」 「薔薇の役目は青に肉を与えること」  などなど、絵本の言葉は少しアーティスティックで抽象的です。だけど何度も読み返していくと、その言葉が何を意味しているのか分かってくるでしょう。この絵本は、女の子たちに強烈なメッセージを伝えているのだと感じます。  著者のmajoccoさんにお話を聞きました majoccoさん【majocco(まじょっこ)】イラストレーター。 仙台出身。多摩美術大学絵画学科油画専攻卒業。広告・アーティスト、ブランドとのコラボレーションを中心に活動。超歌手・大森靖子のグッズ、東京女子流のCDジャケットデザインや作詞なども手掛けている

薔薇、とは「呪いのような愛」

――『薔薇を脱ぐ』って不思議なタイトルですが、意味を教えてください。 「『薔薇』は、愛、それも呪いのようなもの、を置き換えて捉えた言葉です。『愛』は好むと好まざるとにかかわらず、私たちの心に纏(まと)わりついてくる。人から与えられる『愛』と呼ばれるものは、ときにひとりよがりだったり、ときに古過ぎる。私たちが今、生きていくために役に立ったり、支えになるような心地いいものだけではありませんよね。不要であれば脱いでほしいという意味を込めました」 ――物語からは、女の子たちへの強烈なメッセージが読んでとれました。 「今の世の中は、女性が“人”として扱われていないことがままあります。うっすらとそう感じている人が、少なくはないと思います。でも差別している人たちには、自覚がありません。だから、ずっと『女は人ではない』という認識が続いてしまう。女の人自身が、自分のことを『人』だと思えず『自分は誰かのアクセサリーやコンテンツ』だと捉えてしまう悲劇も生まれる」 majoccoさん2「たとえば『結婚したら女は子どもを作るもの、育てたがるもの』、『同棲したら結婚するもの』、『結婚してもらえない女は“選ばれなかった”売れ残り、愛されなかった“負け組”』というような価値観はとても深く浸透しているように思います。そういったまなざしと戦っても戦わなくても、自尊心がえぐられてしまうことが、よくあるんです」
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愛の着心地は自分で決めるもの
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