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結婚後、メンヘラに豹変した妻。夫が精神的DVに耐えつづけた理由

プロポーズを2度も拒否


 プロポーズは那須温泉の一泊旅行中に立ち寄った寿司屋で。皆子さんは戸惑いながらも笑顔で承諾してくれた。実はプロポーズする予定はなかったが、前夜のある一件が田崎さんを後押ししたという。

「宿の部屋で行為に及ぼうとした際、皆子がものすごく暗い顔で『私と結婚しても、子供はできないかもしれない。これ以上、深い関係になってもいいの?』と言ったんです。年齢のことを気にしていたんでしょう。僕は、そんなことは露ほども気にしてないとはっきり伝え、逆にそれで決意が固まりました」

「これ以上、深い関係になってもいいの?」 ところが、東京に帰ってから二度も、田崎さんは皆子さんから「やっぱり結婚したくない」と言われる。

「一度目は旅行の2、3週間後。婚約指輪を見に行った帰りの外食中です。皆子も知っている仕事関係の女性と一緒にお芝居を観に行くと伝えたら、皆子が露骨に表情を曇らせたんです。そのお芝居は仕事の付き合いで観に行くことになったものなのですが、それを説明しても納得しない。

『あなたがそういう関係だと思っていなくても、向こうはそういう関係だと思ってるわよ……』と言って、泣きだしました。そして『私たちはやっぱり無理だと思う。あなたは私の気持ちを全然わかってない。これからも、きっとそういうことがある。だから結婚はやめましょう』と」

皆子が初めて見せた嫉妬深さ それまで皆子さんが嫉妬深さを見せたことなど、一度もなかった。食事の手を止め、席を立って店を出る皆子さん。慌てて追いかける田崎さん。泣きじゃくる皆子さんに翌日ちゃんと話そうと伝え、その日は駅で別れた。

「翌日、お通夜のような顔で皆子が僕のマンションを訪ねてきました。部屋に入るなり大泣きして床にうずくまる皆子を、ありとあらゆる言葉を駆使して説得しましたよ。2時間は続けたでしょうか。『大丈夫だよ』『愛してる』を数えきれないほど繰り返しました

僕にしてみれば必死です。ここで婚約破棄なんてありえない。両親にも伝えていたし、指輪も買ったし、同居するマンションもほぼ決めていたし……」

 この時点で「何か変」だとは思わなかったのだろうか。

「マリッジブルーだと思っていました。急にプロポーズしてすごいスピードで話が進んだから、びっくりしちゃったのかなと……」

2度目の理由に面を食らう


 加えて、田崎さんが「言葉を扱う職業」であることも裏目に出た。

「どういう言葉なら彼女が納得するか、ものすごく考えて、巧みに言葉を連ねました。僕は言葉の力を信じて今までの人生を歩んできましたし、言葉を磨いたおかげで食えているという自負がある。真心をこめて適切な言葉を尽くせば、伝わらない気持ちなんてない。誤解はすべて解ける。相手がわかってくれないのは、ちゃんとした言葉を尽くしていないからだ。そう信じていました

だから2時間説得して彼女が『わかった、結婚しましょう』と言ってくれた時には、えも言われぬ感動を覚えたんです」

 しかし安堵もつかの間、その数日後の夜、皆子さんから田崎さんのスマホに電話がかかってくる。

不穏な電話「ずっと無言なんです。『どうしたの? 大丈夫?』と何度言っても、応えない。2分くらい呼びかけ続けると、消え入りそうな声で『やっぱり結婚はやめたほうがいいんじゃないかな』。わけがわからなくなりました。このあいだ説得したはずなのに、なぜ? どうして今、このタイミングで? 何があったんだ? と。

事情を聞くと、『博さんは親御さんがいいと言った人と一緒になったほうが、幸せになれる』。面食らいました。まだ親に会わせてもいないし、そもそもうちの親は、息子の結婚相手をどうこう言うような人間じゃない。まったくわけがわかりません。すごく混乱しました」

 しかし田崎さんはめげない。一度目と同じく、必死に言葉を費やして説得を試みた。「急展開だから不安になるのも当然だよね、でも大丈夫だよ、君を愛しているよ……」。小一時間ほど説得を続け、ようやく皆子さんは落ち着きを取り戻した。

やっぱり言葉を尽くせば想いは通じるんだと、達成感でいっぱいでした。言葉の勝利です。僕は間違っていなかったんだと、誇らしくさえ思いました」

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幸せは数日で終わった

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