女性が貧困に陥るきっかけ「夫・職場から逃げる」時にすべきこと
働く女性の活躍が重視される一方で、日本の女性の貧困化が深刻だ。一度、貧困に陥ってしまった女性はそこから抜け出すことは難しい。
では、貧困が深刻化する前に食い止める手段はあるのだろうか…?
生活に困窮し、自分では立て直せなくなってしまった人たちの駆け込み寺ともなっているNPO法人・もやい。代表理事・大西連氏に、話を聞いた。
まず、もやいに相談に来る女性にはどんな人が多いのか。
「若い人だと、親との折り合いが悪く若くして家を飛び出したけれど、生活していけず、男性のところを転々としたり夜の仕事で食いつないだりしている20歳前後の女性。次は、セクハラやパワハラが原因で仕事から逃げ出したものの、その後の収入のアテがない20~40代のシングル女性です」
結婚している女性も相談に来る。
「配偶者からのDVに苦しんでいるけれど、自分一人では経済的に暮らしていけないので身動きが取れないという女性は、実はすごく多いんですよ」
さらには「引きこもり生活が長いためにキャリアが断絶していて再就職のメドが立たないが、両親も高齢化しているのでそろそろ働かないと生きていけないというパラサイトシングル」、そして「正規雇用で働いたことがないために少ない国民年金しかもらえず、暮らしがままならない高齢単身女性」などがいるという。
なかでも、DVや職場でのハラスメントが原因で相談に来る女性については、貧困を瀬戸際で防ぐために気をつけてほしいことがあるという大西氏。
「DVが原因で家を出てきたという人は、とにかく夫から逃げたい一心で、条件を詰めないまま離婚してしまうケースが多いんです。もちろん早く逃げたい気持ちはわかるのですが、離婚の際に慰謝料や養育費の条件をきちんと交渉できるかどうかが、その後貧困生活を歩むかどうかの分かれ道となるので、ツラくても法律家に相談するなどしてほしいですね」
会社を辞めるときも同様だ。
「これは男性にも共通して言えることですが、ハラスメントが原因で辞める場合は、『辞めざるを得ない正当な理由がある』ということで、会社都合退職扱いにできるはずなのですが、自己都合退職を認めてしまう人も多い。会社都合退職と自己都合退職では失業給付金に大きな差がありますから、やはりここも踏ん張ってほしいところです」
深刻な貧困に陥る前に対策を講じる「防貧」の意識も重要なのだ。
【大西 連氏】
認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやい代表理事、新宿ごはんプラス共同代表。著書に『すぐそばにある「貧困」』(ポプラ社)
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