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人妻に恋する奥手男子の物語。『希望の灯り』主演男優に聞く

 旧東ドイツの町を舞台に、大型スーパーマーケットに勤める人々の姿を静かに見つめ、ささやかな暮らしの美しさを映し出す『希望の灯り』が公開中です。  在庫管理係として新たに勤め始めた無口な青年クリスティアンを演じて、ドイツ映画祭主演男優賞を受賞したフランツ・ロゴフスキさん(『未来を乗り換えた男』)の来日時に単独取材。本編のことや、日本の印象などを伺いました。

観客に想像する余地を与えている

――個人的に今年観た映画の中でもっとも好きな作品です。市井の人々の何気ない生活がドラマチックに感じられ、自分自身の生活も本当はとてもドラマに満ちているのだと思えました。とはいえ、いわゆる映画的な大事件が起きるような作品ではありません。最初に脚本を読まれたときは? フランツ・ロゴフスキさん(以下、フランツ)「僕も、静かに、でもドラマチックに日常が描かれている部分に惹かれた。多くの脚本はセリフですべてを説明しがち。思っていること、見ていること、聞いていること、すべてをセリフにしてしまい、想像する余地がない。でも『希望の灯り』は、できるだけ説明を省き、言葉を少なくして、想像するスペースを観客に与えている。そこに惹かれた。それに音楽もいい」
『希望の灯り』より

『希望の灯り』より

――クラシックをはじめとした音楽がとてもステキでした。 フランツ「そうした音楽も、観ている人の心情を操作するような、いわゆる盛り上げとして使うのではなく、曲を曲自体として物語に登場させたりしている。いろんな要素がお互いに邪魔せずに、ちゃんと成立している。映画としても珍しいのと同時に素晴らしいと思うし、芸術作品としても素晴らしいと思う」

主人公は初めて恋の力を発見している段階

――演じられたクリスティアンは、年上の女性マリオンに恋心を抱きますが、とてももどかしい関係です。 フランツ「ふたりの関係はとてもデリケートで優しい恋だと思うよ。クリスティアンは初めて恋の力を発見している段階で、大人の男になる過程を経験している。これまで彼は周囲に心を閉ざしてきたけれど、ここで働き始めることで、マリオンや、先輩のブルーノたちに心を開いていく。まるで小さな花や植物が、少しずつ芽を出して成長していく過程を映しているようだ
『希望の灯り』より

『希望の灯り』より

――フランツさんご自身は女性にどうアプローチするタイプですか? フランツ「僕は、ステキな人がいると、最初はクールに構えるけれど、そのままクールにしていると緊張して行動に出せなくなってしまうんだ。だからいいなと思ったら、できるだけすぐに行動に移すようにしている。そうしないとそのまま喋れなくなるから」 ――フランツさんご自身もシャイなところがあるんですね。 フランツ「常にシャイというわけではないよ! 僕はすべての年齢の女性が好きだし、母も好きだし、同年齢の女性も、年上の女性も年下の女性も好きだ。別にシャイじゃないよ。日本の女性のほうがよっぽどシャイなんじゃないかな?」 ――来日してそう感じられました? フランツ「数日の滞在だからよく分からないけれど、みんな礼儀正しいね。それに日本人女性は、とても美しいと思う。とにかく異性にアプローチするときには、失敗を恐れてはいけないと思う。自分を捨てて、バカになることも必要だね」
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『希望の灯り』はBunkamuraル・シネマほかにて公開中 配給:彩プロ オフィシャルサイト
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