ガン闘病中の愛犬と旅行に出かけたら…まさかの行動に涙|ペットロス Vol.23
<16歳の愛犬を亡くした心理カウンセラーが考えるペットロス Vol.23>
心理カウンセラーの木附千晶さんは、16年一緒に暮らしたゴールデン・レトリーバー「ケフィ」を2017年1月に亡くしました。
ケフィはメニエール病などと闘い、最後は肝臓がんのために息を引き取ったのです。前後して3匹の猫も亡くし、木附さんは深刻なペットロスに陥ってしまいます。自分の体験を、心理カウンセラーとして見つめ、ペットロスについて考えます(以下、木附さんの寄稿)。
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本格的な抗ガン剤の投薬をはじめてから10日が過ぎた2016年3月後半は、前々から予約していた2泊3日の小旅行の日でした。小旅行の目的は、「ケフィとの夏休みを過ごすために良さそうな近場の海を探すこと」。でも、今のケフィを外泊させて大丈夫なのか、さんざん迷いました。
投薬は始めたものの、ケフィは相変わらずぐったりとして、食欲ほとんどありません。1日中、寝てばかりで、立ち上がるのもおっくうそう。足取りも不安定なため、トイレに連れ出すときには介護ベストを着せていました。
右の胸から足の付け根にかけてはリンパが赤く大きく腫れ上がり、毛は抜け落ち、皮が割けて膿のような液体がしみ出し、べったり張り付いていました。「熟れた果実の実がはちきれ、果汁がしたたって固まった」ような見た目です。
患部をなめてどんどん傷を広げてしまうので、洋服を着せたり、ガーゼを当てたり、エリザベスカラーを付けるなどしていました。
「この状態のケフィにとって小旅行は楽しい時間になるのか」
「移動するだけでもしんどいのではないか」
「私が『ケフィとの旅行を楽しみたい』という欲を押しつけているだけなのでは?」
いろいろな考えが頭の中を駆け巡ります。2015年12月に、心膜に水が貯まる心タンポナーデでケフィが倒れてからというもの、悩んだり、迷ったり行ったり来たり、ぐるぐると考え込んでしまうことばかりです。
「いっそのこと宿はキャンセルしたほうがいいのでは」
「いやでも、もしかしたらこれが最後の旅行になるかもしれない」
「だったらやっぱり行くべきかも……」
担当獣医師にもすぐには相談できませんでした。「もし、『止めておきましょう』と言われたら……」と思うと、なかなか踏み切れません。毎年恒例だった沖縄旅行をあきらめたときの苦い思いがこみ上げてきます。