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保護犬・保護猫を「うちの子」に。しつけにくそう、は勘違い

 数年前まで、犬猫を迎えたい時はペットショップに足を運ぶのが主流でした。「純血」というブランドを掲げ、ガラス張りのショーケースの中で数万〜数十万円という命の値段がつけられている犬猫たちを迎えることしか動物を飼う策はないと、多くの人々が思っていたのです。 甘える柴犬 ですが、近年ではペットショップの犬猫ではなく、保護犬や保護猫をおうちに迎える人が増えてきています。果たして、その背景には一体どんな事情があるのでしょうか? 愛玩動物飼養管理士である筆者がその事情を考えてみました。

殺処分問題に関心を持つ人が急増

 もともと野良だったり、飼い主に捨てられたりした保護犬・保護猫は数年前までなかなかスポットが当たりませんでした。飼い主のいない動物は保健所や動物愛護施設に連れていけば助けられると思っている人も多かったように思います。  しかし、SNSが活発になったことで動物を取り囲む状況が見える化され、殺処分の実態やペットショップの裏で動物の命を食い物にする悪徳ブリーダーの存在が知られるように。すると、「動物の命を助けたい」「悲しい思いをする動物を減らしたい」という声が高まり、実際に動物保護に携わる人も急増。保護犬や保護猫という言葉が頻繁にマスメディアに取り上げられるようにもなりました。  保護犬・保護猫が注目されている背景には、動物後進国の日本にも徐々に動物愛護の精神が芽生え始めてきたことが関係しているのです。

保護猫カフェの増加で保護猫ブームに

 また、身よりのない動物を収容している保健所や、保護・譲渡に携わっている動物愛護団体はこれまで少し遠い存在のように感じられていました。  保健所は暗いイメージが強くて足を運びにくい場所であり、動物保護団体は保護した動物が再び悲しい思いをせず虐待も受けないよう、厳しい譲渡条件を設けているところが多いため、ペットショップで動物を購入しようと考える人が多かったのです。しかし、全国各地に続々と保護猫カフェが誕生したことで、その状況は変わりつつあります。 膝で眠る猫 保護猫カフェの中には地元の動物愛護団体や保健所と連携し、譲渡をすすめているお店も。足を運んだお客さんはその取り組みを見て、自分の身近で飼い主を求めている動物がたくさんいることを実感し、「殺処分の減少に協力したい」と考えるようになります。  そうした人が増えると保護猫だけでなく保護犬にも注目が集まりやすくなり、動物を飼うならペットショップではなく保護犬や保護猫を迎えようという声が高まっていきました。  保護猫や保護犬が迎えられやすくなった背景には、お金を出してペットショップで購入するよりも、目の前にある命を優先的に助けたいと思う人が多くなったことが深く関係しているのです。
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「保護犬や保護猫はしつけにくそう」は勘違い?
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