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子どもが欲しい妻と男性不妊の夫、涙の話し合いのすえ選んだ道は…

 様々な理由から子どもを産めない女性は、「産めない」と「産みたい」の葛藤の狭間で苦しい思いをしていることも多いように思います。しかし、子どもがいるから幸せだとは限りません。今回は男性不妊を経験したある夫婦の「幸せの形」を取材しました。
男性不妊 夫婦

写真はイメージです(以下同じ)

まさか俺が男性不妊だなんて…

 神奈川県に住む小林健太さん(35)は、5年前に妻・瞳さん(32)と結婚。年齢的に焦りを感じていた瞳さんの願いもあり、夫婦は結婚してすぐに子どもを作ろうと努力しました。しかし、1年半経っても子どもに恵まれず、不安になった健太さんは夫婦で近所のクリニックへ行くことを決意。すると、「無精子症」であることが判明したのです。 「恥ずかしい話、それまで『不妊』という言葉は自分たち男性には関係のないものだと思っていました。しかし、目の前にいきなり病名を突きつけられて妻に申し訳なくて……。何度もごめんと謝りました。」  無精子症は精子が作れてはいるけれど、通り道で詰まっていて出てこられない「閉塞性無精子症」と、精子をうまく作ることができない「非閉塞性無精子症」に分けられます。健太さんは「非閉塞性無精子症」。 「非閉塞性無精子症」はひと昔前までは子どもを得ることは不可能だといわれ、非配偶者間精子提供(AID)が子どもに恵まれる唯一の選択肢だとされていましたが、現在では顕微鏡を用いて精巣内の精子を探し出す「顕微鏡下精巣内精子採取術」により精巣の中で精子が見つかり、男性不妊を乗り越えている人もいると言われています。  しかし、健太さんはどうしても手術に踏み切ることができませんでした。 「自分たちの子供はたしかに欲しかったです。でも、恐怖のほうが勝ってしまいました。手術への怖さももちろんありましたが、それ以上に怖かったのは、もし手術が成功しなかったら終わりのない不妊治療に2人とも疲労困憊していきそうな気がしたんです。子どもを作るためだけに一緒にいることになりそうだと思って、それは幸せなのかと思いました。」

不妊の果てに見つけたのは「夫婦の絆」

 健太さんは、そんな胸の内を瞳さんに正直に告げることに。2人は数ヶ月もの間、毎日のように子どものことや将来のことを話し合いました。時には罵声が飛び交ったり、嗚咽が漏れたりする日もあり、「このままでは離婚になるかもしれない」と感じたこともあったそう。 男女 夫婦 カップル 喧嘩「妻から、あなたは手術をするのが怖いから逃げているだけだよとも言われましたね。もちろん、その気持ちもあったので恐怖心を持ってしまったことは認め、こんな僕でごめんと謝りました。でも、それ以上に伝えたのは子どもがいなくても一緒に楽しく幸せに暮らしていけそうだから結婚したんだということ。もしかしたら自分は男だから、女性より子どもの有無に重きを置いておらず、大好きな人と一緒にいられたら、それでいいと思えたのかもしれません。」  それから2年が経った現在、健太さん夫婦は子どもがいない生活を共に楽しんでいます。夫の不妊という現実と直面した瞳さんは当時を振り返り、こう語ってくれました。 「最初は悲しかったし、腹も立ちました。でも、不妊治療や手術が怖いという気持ちも自分に置き換えたら理解できたし、苦しんで“子ども”という存在にしがみつかなくても、幸せだと思える瞬間は日常の中にこれまでにもあったなと気づいたんです。ただなにげない日常を共有し、ありのままで笑い合える。幸せってそういうことなんだろうなって思います。」  結婚は子どもの有無に関係なく、生涯を共にしたいと思えたから行う行為。――当たり前なのに忘れやすい事実に気づかせてくれる健太さん夫婦の体験談は、同じように子なしという状況に負い目を抱えている方に光を与えてくれるはず。子どもを産めなくても、産まなくても夫婦は心を向き合わせることができれば、幸せになれるのだと思わせてくれます。 <文/古川諭香> ⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
古川諭香
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:@yunc24291
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