職場で起こる“大人のイジメ”。解決する方法はある?
2019年10月、神戸の小学校で発覚した教員同士のいじめは、その手口の残虐性に注目が集まった。また、韓国では元KARAク・ハラの自殺の原因がネットいじめとも噂され、“大人のイジメ”は今、改めて大きな社会問題となっている。その背景と実態に潜む人間の闇に迫った!
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ここまで実情を調査してきた大人のイジメだが、解決する方法はあるのだろうか。各種ハラスメントや大人のイジメについても多くの相談を受ける、日本産業カウンセラー協会の執行理事でシニア産業カウンセラーの伊藤とく美氏に話を伺った。
「複数の要素が絡み合っていることが多いのですが、当協会では職場の悩みに関する相談のうち約2割が大人のイジメに該当すると考えられます。相談数も年々増えていますね」
相談者は、女性に比べて男性は少ないというが、そこには男性特有の事情もあるという。
「男性は、苦しんでいても我慢してしまいがち。心身の限界を感じ、身体症状やうつ病の症状が出てからやっと相談に来るんです。自分がいじめられていると認めたくない、知られたくない気持ちも、男性を相談から遠ざけています。
それでも、カウンセリングを通して自身が語る言葉を受けとめ、状況を整理してもらうと、『あれっていじめだったんだ』と気づく人も多い。まずは自分で状況を理解することが第一歩ですね」
もし、自分や周囲の人がいじめの標的になっていたら、どうするべきか。
「自分が標的なら、やられっぱなしにしないこと。違和感を持ったときに『私はこう感じた』ときちんと抗議の意思を示せば、いじめ行為の抑止力になります。周りにいじめられている人がいたり、不審な様子を察したら、『最近どう?』と聞いてあげるだけでも気が楽になるはず。企業や管理職が研修を受けて対処を学ぶことも大切だと思います」
まずはいじめの存在を認知することが解決のカギだ。
協会に寄せられた職場の悩み439件のうち、「パワハラ」「その他ハラスメント」に該当する100件を「いじめ」と分類した。
※「いじめ」に該当(100件)
パワハラ 82件
その他ハラスメント 18件
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職場の人間関係 150件
セクハラ 11件
休職・復職 20件
解雇 20件
労働条件 75件
業務量・時間外労働 24件
その他 39件
(計439件)
第13回「働く人の電話相談室」結果報告より
(2019年9月10~12日に日本産業カウンセラー協会が実施)
【一般社団法人 日本産業カウンセラー協会】
産業カウンセラーを養成する国内唯一の機関。国家資格キャリアコンサルタント養成講習、企業・団体向けの研修やストレスチェック後の面談なども行う
<取材・文/週刊SPA!編集部>
― 大人のイジメ地獄 ―
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