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「病気と言われた」性的欲求がないノンセクシャル女性の生きづらさ

 近年は『おっさんずラブ』や『きのう何食べた?』など、男性同士の恋愛を取り上げたテレビドラマが放送されるようになり、同性愛への理解が少しずつ広まってきています。しかし、その一方で「ノンセクシャル」への理解はまだ十分ではなく、子なしで生きる覚悟を背負った方の人生を知る機会も少ないように思います。
拒否する女性

写真はイメージです(以下同じ)

 今回、取材に協力してくれたのは数年前にノンセクシャルであることを自覚したという真琴さん(42)。

Twitterで「ノンセクシャル」を自覚

 私はノンセクシャルなんだ――。真琴さんがそう気づいたのは、今から3年前のこと。「たまたまTwitterで見かけた“ノンセクシャル”というワードを深堀りしてみたら、自分に当てはまると思ったんです。」  ノンセクシャルとは、他者に対して恋愛感情はありえたとしても性的欲求を持たない人を指します。混同されやすい「アセクシュアル」は他者に対して恋愛感情も性的欲求も抱かないセクシュアリティで、ノンセクシャルとは異なります。  真琴さんのセクシュアリティに大きな影響を与えたのは、21歳の時に付き合った初めての彼氏。その彼氏に勧められ、アダルト動画を見たことが葛藤の始まりでした。「どんな内容かはなんとなく分かっていましたが、まともに見たのはその時が初めて。動画の中では性行為が神聖なものでも愛情表現でもなく、娯楽のひとつになっていて嫌悪感を覚えました。」 悩む女性 人間の嫌な部分を見てしまった……。ショックを受けた真琴さんはその後、性欲の温度差から彼氏と喧嘩するように。「彼からは心の病気だと言われ別れましたが、男性と女性の間には性教育の壁があるように感じました。」

「性行為=娯楽」という空気感が生きづらかった

 真琴さんがセクシュアリティに葛藤していたのは、女子高生の中古の制服や体操服などを取り扱う「ブルセラショップ」が社会問題化となった頃でもありました。世間のそうした風潮からも「性行為=娯楽」という空気感をひしひしと感じたため、生きづらかったと言います。  ひとりで抱えきれず、意を決して周りにセクシュアリティを相談しても理解されない日々。偏りすぎている性行為の形を感じさせられるたび、心はどんどん傷ついていきました。  性行為は子どもをつくるための神聖なもの。そして、たくさんある愛情表現のなかのひとつであり、通過点。そう思い、真琴さんはこれまでに恋人から性行為に誘われると、じっくり話し合い、気持ちを伝えてきたそう。「私は、愛情がなくても性行為にこだわる男性と愛情があっても性行為にこだわらない女性は真逆でも似ていると思っています。だからこそ、その理由を説明した上で、私は後者ですと伝えてきました。」

体外受精での妊娠も考えたが…

 そんな風にじっくり向き合ってきた結果、真琴さんは自分の考え方を受け入れてくれるパートナーに出会い、2年前に結婚しました。しかし、ノンセクシャルであることから子どもがいない人生を歩まざるを得なかったため、“普通の家庭”とは違う自分たちの暮らしに自信を持てなくなくなることもあったといいます。「女はこういうもの」という偏った持論を耳にすると、ノンセクシャルである自分を否定されたような気持ちにもなりました。 「体外受精での妊娠を考えたこともありますが、年齢を考慮して諦めました。子なしで生きていこうと決意したというよりも、諦めといった感情のほうが近かったかもしれません。」
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『結婚=出産』ではない
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