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DVの平手打ちを闘魂注入と呼ぶ夫にイラッ!中学生の娘の一言で…

 社会的な問題にもなっている恋人や配偶者に対するドメスティックバイオレンス(DV)。警視庁の統計によると、近年では男性被害者からの相談も増えていますが、今でも被害者の8割以上は女性です。
DV

写真はイメージです(以下同じ)

きっかけは妹からの電話

 ひと回り以上年の離れた妹がいる湊絵美里さん(仮名・43歳/大学職員)は、数年前に彼女から「彼氏とケンカになったら思いっきりビンタされた……」と電話で報告されたとか。  子供のころから妹を溺愛していたため、この話を聞いただけで相手の彼氏に対する怒りが抑えられず、感情をコントロールするのが大変だったといいます。 「日常的にDV被害に遭っていたわけではなく、その一度だけとのことでしたが、たった1回でも可愛い妹に手を出したことには変わりません。  ただ、妹もこれで愛想が尽きたそうで、すでに別れを告げたことを聞かされました。姉としては妹には幸せになってほしかったので、ズルズルと関係を続けなくてよかったと思いました」  共依存のような関係になるDV被害女性のケースも多いため、妹さん自らの意思で別れることができたのはよかったかもしれません。  でも、それなら誰のどんな言動が許せなかったのでしょうか? 「夫です。電話が鳴ったときに近くにいたので、私が妹と話しているのはわかっていたようです。それで電話の後、何があったのかを説明しようとしたんです。  けど、最初に妹が彼氏からビンタされたことを説明すると、そこで話の腰を折るように『ビンタ? 闘魂注入だね』と言ってきたんです」

妹が食らったビンタは闘魂注入じゃない!

 ちなみに闘魂注入とは、元プロレスラーのアントニオ猪木氏が行う平手打ちのこと。  そのきっかけは今から30年前、予備校で講演を行った際に生徒たちのパンチを腹に受ける余興を受けていたとき、ある予備校生が不意打ちで猪木氏の腹部に強烈な一発を入れます。すると、当時現役レスラーだったこともあり、条件反射で思わず彼の頬をバチーンとビンタ。  ところが、猪木さんの大ファンだったこともあり、「ありがとうございます!」と深々とお礼。その後、ゲン担ぎで平手打ちを希望する学生が後を絶たず、さらに受験生に関係なく老若男女問わず縁起物として求めるように。  闘魂注入というネーミングも猪木さんが“燃える闘魂”と呼ばれていたことから、一部では平手打ちの隠語として使われるようになったわけです。 「昔から夫は大のプロレス好き。私もその影響で子供が生まれる前は何度も観戦デートに行きましたし、家には今も夫のプロレスDVDのコレクションがあり、闘魂注入=ビンタということも理解していました。  だからこそ彼氏に殴られた妹を闘魂注入とかいってちゃかす夫が許せなかったんです!」
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娘に「サイテー!」と言われ、夫は意気消沈

 このとき絵美里さんは、自分が座っていた椅子に使っていた自作のミッキーマウス柄のクッションを思いっきり夫めがけて投げつけます。  学生時代、ソフトボール部だったからでしょうか、クッションはリビングのソファーに座る夫に見事ヒット。持っていた缶チューハイを落としてしまいます。 「『何すんだよ!』ってキレたので、『あなたに闘魂注入してあげたの。文句ある』って言ったんです。  その言葉に夫はハッとしたのか、『だからってこんなことしなくても……』とブツブツ文句は言っていましたが先程までの威勢の良さはありませんでした」  ちょうどこの直後、騒ぎが聞こえたのか中学生の娘が「何かあったの?」とリビングにやってきたので、絵美里さんは一部始終を説明。話を聞いた娘さんから「サイテー!」と言われてすっかり意気消沈していたそうです。 「DVの平手打ちを闘魂注入と呼ぶなんて言語道断ですし、猪木さん本人にとってもいい迷惑ですよ。夜の晩酌中で軽く酔っていたから口をうっかりすべらしたんだと思いますが、それでも言っていい事と悪い事があります」 ―シリーズ「許せない一言」― <文/トシタカマサ イラスト/真船佳奈> ⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
トシタカマサ
ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。
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