そんなサプライズプロポーズをしたハチャメチャな夫でしたが、病状がかなり悪化し、婚姻届を出した自身の誕生日に入院をすることに。私が市役所から病院へと戻り、無事に婚姻届が受理されたことを伝えると、「指輪は由佳の誕生日に買おう」と言ってくれました。

しかし、私の誕生日はその3か月半後。結局、指輪を買うことなく夫は旅立ってしまいました。
ですが、夫が亡くなる少し前に、遺骨を入れるアクセサリーというものがあることを知った私。その頃の夫は毎日自分の死を覚悟していたので、夫婦で葬儀の話などもしていました。
その流れで「もし私の誕生日まで間に合わなかったら、遺骨を入れる指輪を作ってそれを結婚指輪にしてもいい?」とパンフレットを見せて聞いてみると、夫は「いいよ」と即答。
2人で買うことは叶いませんでしたが、私の誕生日の数週間後に、夫の遺骨が入った唯一無二の結婚指輪を手に入れることができたのです。

夫の遺骨が入った唯一無二の結婚指輪
名字を変えたことも遺骨の入った指輪をすることも、実際に夫の死後、いつでも一緒にいるような気持ちになれました。それは1人で生きているようで、2人で生きているような、不思議な感覚。でも確実に、夫は今も私の中に生きています。
次回は、そんな夫との最後の2週間を過ごした、自宅での看護生活についてつづりたいと思います。
―シリーズ「
私と夫の1063日」―
<文/関由佳>
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筆跡アナリストで心理カウンセラー、カラーセラピストの資格も持つ。芸能人の筆跡分析のコラムを執筆し、『村上マヨネーズのツッコませて頂きます!』(関西テレビ)などのテレビ出演も。夫との死別経験から、現在グリーフ専門士の資格を習得中。
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