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プロレス史に残る名レスラーの名テーマ曲集

 このところ、プロレス人気が再び盛り上がっているといいます。しかもそれを支えているのが、女性客だというのですから驚きです。「プロレス女子」という言葉を見かける機会も多くなりました。  一時はK-1や総合格闘技の勢いの前に苦戦を強いられながらも、しぶとく生き残ってきたプロレス。そしていま何度目かのブームを迎えているわけですが、そこで忘れてはならないのが数々の名レスラーと欠かせないテーマ曲の数々。試合で繰り広げられる大技も、これら素晴らしい音楽による“前奏”がなければその迫力も半減です。  そこでいくつか振り返りながら、そのアーティストの他の代表曲や知られざる一曲などを、独断と偏見でご紹介しましょう。

スタン・ハンセン「サンライズ」

 まずプロレスといって思い浮かぶのが、ウェスタンラリアットでおなじみ、スタン・ハンセンのテーマ曲「サンライズ」です。プロレスもハンセンも知らないよという人は、バラエティ番組で石橋貴明が突然暴れ出すシーンを思い浮かべてください。そこで流れる曲だと言えば分かるでしょうか。 ⇒【YouTube】SPECTRUM スペクトラム SUNRISE サンライズ
http://youtu.be/Jxi10ZIvyTo
 しかしこのテーマ曲にはひとつ仕掛けがあります。スペクトラムの「サンライズ」が流れる前に、のどかなカントリーポップ調のイントロが流れるのですね。それが「We are the world」への参加でも知られるケニー・ロジャースの「So in love with you」です。 ⇒【YouTube】ケニー・ロジャース So in love with you
http://www.youtube.com/watch?v=8jY3-iUaALM
 このおだやかなイントロと荒々しい本編の対比が、ハンセンというレスラーを見事に体現していたように思います。ぶっといロープを客席に向かってぶん回しながら花道を歩いて、リングアナウンスでコールを受けると「ウィ~~~~~!!」の大合唱。古き良きプロレス会場の風景です。

天龍源一郎「サンダーストーム」

 そのハンセンと長らくタッグを組んできた天龍源一郎のテーマ曲「サンダーストーム」も印象深い。いまでは何を言っているか分からない競馬実況で人気の天龍ですが、かつては顔面へのグーパンチや背中へのえげつないキックに寒気を覚えたものです(先日、2015年11月をもって引退することを表明)。  この曲を作曲、演奏したのが日本を代表するギタリスト、高中正義。彼の「ブルーラグーン」という曲と聴き比べて、曲調の幅広さを楽しむのも一興かと思います。 ⇒【YouTube】高中正義-サンダーストーム http://youtu.be/yjrRgR2Tu10 http://youtu.be/yjrRgR2Tu10 ⇒【YouTube】高中正義-ブルーラグーン
http://www.youtube.com/watch?v=kWC7HFksDvc

ハルク・ホーガン「リアル・アメリカ」

 ところで、今のプロレス人気の陰に思い切ったエンタメ化へのシフトチェンジがあったことは見逃せません。そのプロトタイプは、もちろんアメリカンプロレス。とくれば、やはりハルク・ホーガンを忘れるわけにはいきません。  リック・デリンジャーの「Real Amrican」にのせて、手をくるくる回して耳に持っていき「もっと声援をよこせ」というあのポーズを真似した人もいるのではないでしょうか。 ⇒【YouTube】Hulk Hogan – Real American HD(Official Video) http://youtu.be/RKM1AAzeRCg <俺こそ本当のアメリカ人 全人類の権利のために戦う>というキメフレーズはもはや清々しいほどですが、デリンジャーがエドガー・ウィンター・グループ在籍時に残した「Free ride」のギタープレイもこれまた圧巻。クリーントーンとクランチトーンの絶妙なミックスから繰り出されるカッティングが曲のタイトルを雄弁に物語っていると思います。 ⇒【YouTube】Free Ride -Edgar Winter Group
http://www.youtube.com/watch?v=Ek_4ADcA_Ik
⇒【後編】「邪道・外道のテーマ曲、ZZ トップの超絶ロック ほか」に続く http://joshi-spa.jp/202710
石黒隆之
音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。いつかストリートピアノで「お富さん」(春日八郎)を弾きたい。Twitter: @TakayukiIshigu4
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