
11月上旬、国内のベトナム人女性を雇った風俗店が出入国管理法違反で摘発された。夏には相次ぐ家畜盗難の実行犯が「ベトナム人では?」と噂されるほど、ベトナム人技能実習生の困窮に注目が集まっている。
国内のベトナム人事情に詳しいNPO法人「
日越ともいき支援会」代表の吉水慈豊氏は「以前から問題になっていた技能実習生制度ですが、コロナ禍で明らかに事態が悪化しています」と沈痛な面持ちで語る。
「以前から生活苦により風俗で働くベトナム人女性はいました。ただ、相手は主に本国から来た富裕層のベトナム人と聞いていたので、今回のように日本人を相手にする店で働くというのは正直驚いています」
コロナ禍でベトナム人技能実習生たちに何が起こっているのだろうか。
「不況で業績の悪化した雇い主が実習生に自己都合退職を強要するケースが目立ちます。会社都合では国の助成金がもらえなくなるからです。現在はコロナ禍で飛行便が極端に減り、入国制限も厳しいため、解雇された人は帰国も難しい。そうなれば”失踪”以外に道はなく、結果的に法を犯すことに繋がる。
’17年から在日ベトナム人の犯罪件数は国籍別でトップですが、本来なら日本の政府が彼らのフォローや、帰国の手配をすべきなのです。しかし、一向に動く気配がない。このままでは誰にとっても不幸な結果しか見えません」
法務省によれば失踪ベトナム人技能実習生の数は’12年から7年間で12.3倍となった。もはや予断は許されない。

吉水慈豊氏
【NPO法人日越ともいき支援会・吉水慈豊氏】
浄土宗僧侶。ベトナム人技能実習生、留学生などが若くして命を落とすことに憤りを感じ、数年前より命と人権を守る活動を行っている。
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[密着ルポ]コロナ貧困女子の“いま”―
<取材・文/週刊SPA!編集部>