大人になるとどうしても、「性」と聞くと真っ先にセックスを連想しがちではありませんか? 村瀬先生によると
セックス、つまり性交は、性教育の数あるテーマの1つだそう。冒頭の質問「赤ちゃんはどうしてできるの?」に堂々と答えるためには、セックスの意味を問い直す必要がありそうです。

「もちろん、性交について考えるのも大切なことです。
性交とは、お互いのプライバシーを明け渡し、命を預け合う行為とも言えるんですよ。
性交時は基本的にお互い裸になるため、逃げられない状態です。もし相手が暴力的な行為に及べば、命と体が危険にさらされかねません。また互いに性感染症を移したりして、健康を害する恐れがあります。HIV感染・エイズが拡大したときの一番の安全対策は、『NO SEX(セックスしないこと)』と言われました。ほかにも、予期しない(望まない)妊娠をする可能性もあります。
つまり、セックスをすることはなんらかのトラブルを覚悟することでもあるのです。
そういったトラブルと無縁の人生を送るために、
性に関する正しい知識と行動力が大切。性交について正しく理解することは、慎重な性行動と、幸せにつながる性行動を生み出します。性的トラブルを避けられるようになりますし、万が一トラブルにあっても、解決に向かって適切に対処しやすくなります」
「プライベートパーツ」という言葉を聞いたことがありますか? 性教育を学び直すためには、この言葉が欠かせません。
「
そもそも体は全部その人のもの。その中でも特に、他人(親であっても)が勝手に触ったり触らせたりしてはいけない部分があります。
自分だけ触っても良い大切なところ、それが『プライベートパーツ』です。
プライベートパーツとは、『
口・胸・性器・お尻』の4箇所を指します。体の内部につながり妊娠、出産、性愛などその人の
いのちに直接かかわる部分です。プライベートゾーンや水着ゾーンという呼称もありますが、この呼び名では布でおおわれた箇所しかイメージできないかもしれないので、私はあえてプライベートパーツと呼んでいます。口も、大切なプライベートパーツの1箇所です。
お子さんがいらっしゃる方には、『
プライベートパーツはあなただけのものだから、大切に扱わなくてはいけないよ。優しく清潔にしよう。もし勝手に触ったり見たりしようとしてきた人には、イヤだ!! と言って、逃げなさい』と教えていただきたいです。
もちろん、大人も同じく大切にすべき箇所です。セックスは単に肉体や性欲のことだけではなく、大切に守ってきたプライベートパーツを相手に明け渡す、命を預けるような行為なんですよ」

『おうち性教育はじめます 一番やさしい!防犯・SEX・命の伝え方』(KADOKAWA)

『おうち性教育はじめます 一番やさしい!防犯・SEX・命の伝え方』(KADOKAWA)
性教育を学ぶことは、自分の心と体を大切に守ることにつながる。このことを念頭に、次回は防犯のための「NO・GO・TELL」についてお伝えしていきます。
―大人が学びなおす“性”のこと―
<村瀬幸浩 取材・文/内埜さくら、女子SPA!編集部>