
中村さんを虜にした白シャツのお店「ブリエンヌ」⇒オーナーのカリーヌ・ベイベデールさんと中村さん。「ブリエンヌ」はカリーヌさんとご主人が立ち上げた白シャツのブランド。白シャツ好きの二人は話が弾む

華美すぎず、モードすぎず、品よく洗練された白シャツや白ブラウス。フェミニンなものから、マスキュランなものまでさまざまなデザインがあり、いずれも随所にフランスの職人さんの手仕事が光る
──中村さんというと、食事は毎日三つ星レストランで、ファッションはブランド品しか身に着けない……という印象を持つ方もいらっしゃるようです。でも、ページをめくっていると、これなら私たちでも行けそうというお店もたくさん出てきますね!
「ええっー(笑)。その印象、残念ながら違います! もちろん、衣食住、手をかけて作られたいいものはやはりいいですし、歴史や作られた背景も含めて素敵だと思うものもあります。夫と過ごす時間に、たまには星付きのいいレストランに行こうとなったり、長く大切に使うつもりで購入する物や、気に入って見ていた物が、たまたまセールになっていて購入したり……ということもあります。
でも、それは日常ではないです(笑)。『セゾン・ド・エリコ』の読者の方はご存じだと思いますが、家で、カレーライスを作ったり、お魚焼いたり、今号ではわが家の“豚肉のしょうが焼き”をご紹介していたりもします。撮影や仕事で忙しい日には、デリバリーのお弁当やどんぶりものをお願いしたりもします。洋服もスニーカーも履けば、ネットでファストファッションも購入しますし、手ごろなお値段のトートバッグもかごバッグも愛用しています。ただ、おしゃれに関しては『ときめく気持ち』も大切にしたい。白シャツのお店などはまさにそうです」

最初は修行のように痛く、やがてそのすごさがわかる靴!「J.M.ウエストン」⇒特別注文は割高にはなるが、革や縫い糸までパーソナライズできる。外反母趾など足の悩みにも対応し、足そのものを整えてくれる自分だけの靴が手に入る

「Derby Golf」のシリーズは1950 年代に発表されて以来、根強い人気。砂よけ部分を簡単に取り外しできて、ふた通りの表情を楽しむことができる
──なるほど。確かに中村さんは値段やブランド名に左右されずに、自身の感性で選んだ物やお店を大切にしていらっしゃいますよね。今回のお店のセレクトでも随所に感じます。
「ありがとうございます! たとえば、靴やほかにも本誌でご紹介したバッグのお店などは、少し背伸びが必要かもしれませんが、一生モノともいえるものに出合えます。逆に、先ほどご紹介したような、お手頃な食器屋さんやフランスのお母さんの味のテイクアウトのお店などは親しみやすく普段着のパリを感じていただけるかと。どちらともが、パリの魅力なんです」

「ル・クラランス」⇒「世界のベスト50」のリストにランキングする名店。19世紀の邸宅建築が1棟丸ごと二つ星のレストランになっている。オーナーは名門ワイナリーのオーナーでもあるので、料理やワインはもちろん素晴らしいが、シャトーさながらの内装も必見

シェフのクリストフ・プレさんが生み出す独創的な料理は芸術品の域。サバイヨンソースの下に隠れているのは、素揚げにした海老、ヒラメ。そしてトランペット・ド・ラ・モールというキノコがアクセントになっている

併設のワイン専門店「La Cave du Château」。館の地上階と地下がワインショップになっていて、3000 種類のワインが揃っている
──最後に。美食の街、芸術と美食の街「パリ」ならではのお店をあげるとしたら……。
「旅先でも、せっかくですから1日ぐらいはがんばっておしゃれをして、レストランを訪ねたいですよね! 『ル・クラランス』はシャトーのような邸宅建築のレストラン。二つ星のお料理やワインで、目も、心も、お腹も『これぞパリ!』という気分に満たされると思います。
<撮影/武田正彦 現地コーディネート/鈴木春恵 文/女子SPA!編集部>