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代表作がパッと浮かばないけど、味わい深い。36歳俳優の“安心感”は結婚報告にも

ルーツを探る第1話

 ミステリ作家がきたからには、事件は起こる。でもここは中村倫也流儀。変に緊迫感をあおるようなことはない。田舎にきた都会人という設定によって、飾らないが洗練された雰囲気を終始漂わせる。  それがひょいと翻って熱く語りだす転換もいい。地元を守る「ハヤブサ消防団」の勇姿に感動し、スランプだった連載小説を書き上げた太郎は、酒の力を借りて入団を希望する。それこそ「柄にもなく」ぐっと力強い中村もなかなかいい風情だ。  小説を書き上げた瞬間、縁側近くに陣取った書斎から仰向けになる達成感も慎ましい名場面だ。太郎が思わず喜びをあふれさせるモノローグはこうある。 「ハヤブサに移住することが、何か自分のルーツに近いもの、原点に近いもののの中に身を置くための手段だという実感があった」  なるほど、中村倫也ビギナーの筆者からすると、この三馬太郎役をきっかけに彼の俳優としてのルーツを探ってみたいと思う、そんな第1話だった。 <文/加賀谷健>
加賀谷健
コラムニスト / アジア映画配給・宣伝プロデューサー / クラシック音楽監修「イケメン研究」をテーマにコラムを多数執筆。 CMや映画のクラシック音楽監修、 ドラマ脚本のプロットライター他、2025年からアジア映画配給と宣伝プロデュース。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業 X:@1895cu
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