現在のテレビ局が制作するバラエティ番組で、ここまで壮大な企画を成功させられるのは『水曜日のダウンタウン』くらいだ。

(画像:『水曜日のダウンタウン』TVer配信ページより)
かつて『ロンドンハーツ』(テレビ朝日系)に勢いがあった頃は同じようなドッキリを作ったが、仕掛け人のロンドンブーツ1号2号・田村淳がコントロールする形で企画を成立させていた。
しかし、「リアル人生すごろく」はあくまでクロちゃんが巻き起こす、偶発的な笑いで構成。完全にクロちゃん任せでギャンブル的な企画なのに、スタッフの巧妙なドッキリの作り込みで、番組として成立させる荒業を見せた。
数多く作られてきたドッキリの進化系であり、『水曜日のダウンタウン』が新たな歴史を作ったと言える。
最後はプロポーズして玉砕した「リアル」な人生すごろく
そんな「リアル人生すごろく」は、最終的に交際相手のリチにプロポーズして終結するのだが、クロちゃんに対して鬱憤が溜まっていたリチの感情が爆発し、結婚どころか破局する結末を迎えた。

(画像:『水曜日のダウンタウン』TVer配信ページより)
スタッフはリチから不満を聞いていなかったと説明したが、クロちゃんの部屋に番組がつけたカメラがあるので、なにか不穏な空気は感じていたのだろう。クロちゃんの性格を知り尽くしたスタッフが、巧妙にバッドエンドに導いたのではないかと思う。
しかも、すぐれたプレイヤーであるクロちゃんは、最終的にスタッフへ「どう責任とってくれんだよ」とブチキレ破局をエンタメ化することに成功。結果、恋人同士の悲しい別れのはずが、なぜか笑ってしまう映像に仕上げた。クロちゃんを信じ、抜群におもしろいオチに導いた番組スタッフは神がかっていると言える。