2025年3月4日、「産業の発展と地球環境との共生」に向けて、地球環境の保全活動などに熱心に取り組む企業や自治体、学校などを表彰する「第33回地球環境大賞」（主催：産経新聞社）。受賞企業が発表されました。授賞式は、4月7日に東京港区元赤坂の明治記念館で行われる予定です。 　大賞には、「ナノインプリントリソグラフィ」（以下、NIL）技術を用いた半導体製造装置の製品化を実現したキヤノン株式会社が選ばれました。 　NIL技術は、従来の露光技術方式と比べ、製造プロセスの消費電力を約90%削減でき、大幅な省エネや環境負荷低減が期待できる新技術。経済産業省は「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」において、グリーン成長戦略を支えるのは強靭なデジタルインフラであり、グリーンとデジタルは両輪であると述べたのに加えて、半導体・情報通信産業を成長分野として位置付けています。 　微細な回路パターンが形成された最先端半導体の需要増に伴い、半導体デバイス製造の省エネルギー化への関心が高まり、半導体の技術革新は急務となっています。 　NILは、レジストをウエハー上に塗布した後に、回路パターンを刻み込んだナノレベルの型をハンコのように押し付けて形成します。光露光技術にある現像工程を必要としないため、電力だけでなく水使用量、廃液排出量、化学物質排出量を削減し、環境に対する負荷を低減できるそう。 　キヤノン株式会社は、NIL技術を用いた半導体製造のエコシステムを描き、外部企業等との連携を主導して装置および周辺工程の問題をクリアし、量産向けのNIL技術を確立しています。 　NIL半導体製造装置は、半導体以外に、微細な円柱状の光学素子を並べた構造を持つ「メタレンズ」（METALENS）と呼ばれる光学素子の製造への適用も期待されており、レンズ研磨による環境負荷（研磨クズの排出や水使用等）を低減できるそうです。 　そのほかにも環境負荷を低減した次世代の飲料缶蓋「EcoEnd™」を共同開発した株式会社UACJ、東洋製罐株式会社の2社が経済産業大臣賞、コオロギをタンパク源として養鶏に活用する研究を行った鹿児島県立市来農芸高等学校が文部科学大臣賞をそれぞれ受賞するなど、環境に配慮した先進的な取り組みを行う企業や自治体、教育機関の取り組みが第33回地球環境大賞では称えられました。