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子供2人を抱えて離婚してしまった<シングルマザー、家を買う/序章>

<シングルマザー、家を買う/序章> バツイチ、2人の子持ち、仕事はフリーランス……。そんな崖っぷちのシングルマザーが、すべてのシングルマザー&予備軍の役に立つ話や、役に立たない話を綴ります。 子供2人を抱えて離婚してしまった<シングルマザー、家を買う/序章>(1)

“旦那のケータイ”というパンドラの箱を開けてしまった

 どうやら旦那が浮気をしたらしい。  そんな直感が働くのはきっと女だけだろう。何も変わらない日常の中に、ふんわりと漂う異分子……。ナノレベルの変化なのに、旦那が家のドアを開く前には、何かが違うとわかってしまうこの第六感!  そこで私は絶対に開けてはいけない“旦那のケータイ”というパンドラの箱を開けてしまったのだ。そこからは出てくる、出てくる証拠のオンパレード! もはや高校生でも送らないような甘いメールが次から次へと目に飛び込んでくる。一番衝撃だったのが、意中だった彼女に送ったであろう「Aちゃんはジーパンが似合うね」というキラーメール。 「……ジーパンは労働者全員が似合うんじゃ!」  そう叫んだときは、我ながら「名言だ」と心の中でつぶやいたのだった。  浮気の証拠を見た瞬間、頭の中は真っ白に……というのが普通かもしれないが、そこで私が起こした行動は、このメールを証拠として残しておこうという冷静な判断。女性は頭の中に何本も回路が同時に走っていて、冷静な回路と、激情的な回路を同時に持つことができるのだ。わなわなと震える手で旦那のケータイから証拠のメールを自分のケータイへ転送し、その夜、旦那を問い詰める、地獄のような尋問が始まった。  その後、ケータイは曲がっちゃいけないような方向に曲がり、隣の部屋から警察をよばれる寸前のような怒号が飛び交う血を見る戦いの末(注:死んではいない)、別居に踏み切ったのは2010年の秋。そこから強い、強いと思っていた私の精神状態は少し崩れ始めた。

幸せそうな家族マネキンに「おい!お前ら!」と叫ぶ

 この頃は見るものすべてが不幸に感じるし、なによりジャックナイフのように精神が尖っているのだ。これまで、太っているという理由で埋まっていた鎖骨も少しずつ顔を出し始め、別居してから3ヶ月でキレイな鎖骨が見えてきた。(それはちょっと嬉しかった。)そりゃ、そうだろう。まだ1才にもならない二番目の子と、イヤイヤ期真っ只中の2歳の長女。2人をかかえて、シングルマザー予備軍となったのだから。  とはいえ、某アパレルショップの前に立ったママ、パパ、子供2人、犬というマネキンが全員がボーダーのTシャツを着ているというすさまじい光景を見て「おい、お前ら! ずっと幸せだと思うなよ!」と思わず声に出していたときはさすがに末期だと思った。  いや、末期だ。よちよち歩く2歳児を連れて、さらには愛くるしい新生児を乗せたベビーカー押しながら、マネキンに悪態ついてるママなんてそうそう出会えない。あのとき、周りに誰もいなかったことを運がよかったと思うことにしよう。 子供2人を抱えて離婚してしまった<シングルマザー、家を買う/序章>(2) それから1年。よく晴れた秋の日に、29歳だった私は3歳の娘と1歳の息子を抱えるシングルマザーとなった。離婚届を出したその足で不動産屋へ行き、思い切って安い家も購入した。いまや30年のローンを抱えるシングルマザーになってしまったのだ。 ⇒【後編】「シングルマザー=かわいそう、って誰が決めた?」に続く http://joshi-spa.jp/168911 <TEXT/吉田可奈 ILLUSTRATION/ワタナベチヒロ> ⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】 【吉田可奈 プロフィール】 80年生まれ。CDショップのバイヤーを経て、音楽ライターを目指し出版社に入社。その後独立しフリーライターへ。現在は西野カナなどのオフィシャルライターを務め、音楽雑誌やファッション雑誌、育児雑誌や健康雑誌などの執筆を手がける。23歳で結婚し娘と息子を授かるも、29歳で離婚。座右の銘はネットで見かけた名言“死ぬこと以外、かすり傷”。Twitter(@singlemother_ky) ※このエッセイの次回更新は12月24日を予定しています。
吉田可奈
80年生まれ。CDショップのバイヤーを経て、出版社に入社、その後独立しフリーライターに。音楽雑誌やファッション雑誌などなどで執筆を手がける。23歳で結婚し娘と息子を授かるも、29歳で離婚。長男に発達障害、そして知的障害があることがわかる。著書『シングルマザー、家を買う』『うちの子、へん? 発達障害・知的障害の子と生きる』Twitter(@knysd1980
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シングルマザー、家を買う

年収200万円、バツイチ、子供に発達障がい……でも、マイホームは買える!

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