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不動産屋で「門前払い」…貧乏人で悪かったな!【シングルマザー、家を買う/第4章】

<シングルマザー、家を買う/第4章> バツイチ、2人の子持ち、仕事はフリーランス……。そんな崖っぷちのシングルマザーが、すべてのシングルマザー&予備軍の役に立つ話や、役に立たない話を綴ります。

私が死んだら、子供は路頭に迷うのか?

 離婚届を市役所に届けた足で向かったのは、不動産屋だ。  私が住む最寄り駅の高架下には、3件の不動産屋が並んでいる。なかでも一番大きい不動産屋は、いつもかわいいアイドルが微笑むポスターが印象的なM店。でも、フリーランスでシングルマザーなんて取り合ってもらえないだろうと勝手に判断し、一番端っこにある地域密着が売りの小さなA店に足を運んだ。 不動産屋で「門前払い」…貧乏人で悪かったな!「いらっしゃいませ~!」 「あの、家の購入を検討しているんですけど…」  ちょっとドキドキしながら聞いてみると、「少々お待ちください」と声をかけられ、待つこと5分。奥から若い男性がアンケートを持ってやってきた。そのアンケートに書き込むのは過去1年の年収と、職業、現在の貯金状況や購入予算など私の個人情報を丸裸にされるものばかり。  まぁ、家を買うんだからな……。  意を決して記入するも、書けば書くほど落ち込んでくる。不安定な職業、配偶者がないということ。子供あり(しかも2人)、子供の年齢、希望する部屋の広さ。さらには貯金がないこと。そして、私の去年の年収…。  その“去年”に私は第2子を出産。出産間近の臨月で旦那の沖縄転勤が決まり、東京を中心に仕事をしていた私は、そのまま世に言う“産休”に入っていたのだ。  ただ、私の場合は世間の産休のように給料の何割かを国から支援してもらえるわけではなく、“仕事を請けない=無収入”! 出産が4月だったので、実質働いたのは臨月に入る前の数ヶ月。  その後1才になるまで保育園も預けられなかったので仕事がほとんどできず、年収といえど、高校生がバイトでちょっと頑張った夏休みの月収くらいしかない。いや、その高校生が相当がんばったなら、その月収なんて到底足りないくらいの悲しい額だ。う~ん、無謀!  でも、欲しい。家が欲しい。どうしても、欲しい。
吉田可奈さん

崖っぷちシングルマザーの筆者

 離婚が決まって、最初に考えたのは、家を買うということ。それは、なによりも子供のためだ。私の両親の口癖は、“家さえあれば、なんとかなる”だった。たしかに、家賃を払い続けていても自分の資産にはならない。でも、家さえ買ってしまえば、自分に何かがあったとしても、子供は路頭に迷うことがないと考えたのだ。目に入れても痛くない娘と息子を、某芸人みたいにダンボールで生活させるわけにはいかない。それだけはなんとか避けてあげたい。  もちろん、年収や不安定な収入を考えたら高額な住まいは無理。でも、生まれ育った地域の団地であれば、月額5万円以内で子供がそれぞれの部屋を持つことが出来ることを、私は知っていた。オートロックもなければ建物も古い。エレベーターもなければ、隙間風は吹きまくりである。  でも、屋根はある。それだけでいい。  そんな低い目標で、そんなに無理を言っていないはずだが、不動産屋の顔は曇るどころか完全に“はい、はい”という適当な顔に変化し始めている。 ⇒【中編】「不動産屋のお兄さんの、冷たすぎる反応」に続く
http://joshi-spa.jp/182175
<TEXT/吉田可奈 ILLUSTRATION/ワタナベチヒロ> ⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】 【吉田可奈 プロフィール】 80年生まれ。CDショップのバイヤーを経て、音楽ライターを目指し出版社に入社。その後独立しフリーライターへ。現在は西野カナなどのオフィシャルライターを務め、音楽雑誌やファッション雑誌、育児雑誌や健康雑誌などの執筆を手がける。23歳で結婚し娘と息子を授かるも、29歳で離婚。座右の銘はネットで見かけた名言“死ぬこと以外、かすり傷”。Twitter(@singlemother_ky
吉田可奈
80年生まれ。CDショップのバイヤーを経て、出版社に入社、その後独立しフリーライターに。音楽雑誌やファッション雑誌などなどで執筆を手がける。23歳で結婚し娘と息子を授かるも、29歳で離婚。長男に発達障害、そして知的障害があることがわかる。著書『シングルマザー、家を買う』『うちの子、へん? 発達障害・知的障害の子と生きる』Twitter(@knysd1980
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