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なぜ、シングルマザーがモテるようになったのか?

 先日11月23日に、ブロガーとしても有名な都議会議員の音喜多駿氏(32)が、江東区議会議員・三次由梨香氏との結婚を発表しました。三次氏は7歳の娘がいるシングルマザー。ネット有名人がシングルマザーの女性と結婚したというニュースに、大きな衝撃を覚えた人も少なくなかったようで、音喜多氏のブログはアクセス集中によってサーバーダウンまでしたようです。
子連れ婚

写真はイメージです

 紗栄子さんや広末涼子さんなどの事例をあげるまでもなく、輝かしい知名度や美貌を有している芸能人であれば、シングルマザーであることが結婚相手を見つける上でハードルになってしまうという一般的な現象は、これまでもあまり無かったと思います。ですが、一般人の間でも10年前から結婚する人の4人に1人がどちらか再婚となり、その後も微増傾向が続くなど、シングルマザーの結婚は着実に増加しています。  ということは、シングルマザーであることは、もはや結婚相手を見つける上でハードルではなくなってきたと言えるのでしょうか?

男性側のシングルマザーに対する偏見が和らいできた

 確かに、離婚件数が結婚件数のおよそ3割にのぼる状況が何年も続き、シングルマザーの絶対数が増加しているため、シングルマザーに対する社会的偏見が以前よりは弱くなってきたこともあるでしょう。それによって男性側の偏見も少しずつですが、和らいでいるように思います。  また、以前であれば、息子がシングルマザーの女性と結婚したいと言おうものなら、親が「バツイチなんてありえない!」と言って認めないことは、当たり前のことだったのかもしれません。ですが、地域差もあるかもしれないですが、近年ではむしろそのようなセリフを言っていたら、「親御さん、古い考えなのね」という形で見られることも少なくありません。核家族化が進み、「家系」がさほど重要視されなくなってきたことで、血が繋がっているということの重要度も下がっているようです。 結婚 ですが、やはり最も変わったのは女性自身だと思います。その中でも、社会的に活躍する魅力あるシングルマザーが増えているように思うのです。前述の三次氏も区議会議員という重責を担っています。彼女はあくまで一例に過ぎず、今や至るところで社会的に活躍するシングルマザーがおり、例をあげれば枚挙に暇がありません。  社会的に活躍することで人としての魅力が磨かれて行けば、彼女たちを「素敵だ!」と思う男性と惹かれ合うのも当然の流れです。もちろんまだ「シングルマザーよりも子供のいない女性が良い」という希望を持つ男性も多いですが、その希望を取り下げたくなるほどの魅力あるシングルマザーが増えてきたのではないでしょうか?  また、これまでシングルマザーが結婚に動く動機としては、配偶者抜きで生きていくのは厳しいため、子育て費用を負担してくれる男性を見つけるというエコノミックな視点も少なくありませんでした。ただし、それでは男性が「どうせ僕自身よりお金のほうがお目当てなんでしょ」と感じてしまうことも少なくありません。これが、子供のいない独身男性がシングルマザーを敬遠する理由にもなっていました。  ですが、一定以上の経済力があるシングルマザーが増えており、彼女たちは別に男性がいなくても生きていけるわけです。であれば、男性側も自分との恋愛・結婚が「お財布」目当てではないと分かり、人間関係を重視して相手と向き合うことができるようになります。こうして子供のいない独身男性がシングルマザーと恋愛・結婚することの心理的ハードルが下がっていると言えるでしょう。

どんな時代になっても女性は自立を考えよう

 ただし、シングルマザー全体を考えれば、西欧の先進国に比べて圧倒的に生活支援は乏しく、貧困に苦しむ家庭も少なくありません。実際、シングルマザー世帯の相対的貧困率はおよそ6割にものぼり、8割以上の家庭が「生活が苦しい」と答えているほど。多くのシングルマザーが社会的に活躍する機会すら得ることができない場合がほとんどです。  このように、シングルマザーの中でかなりの経済格差が広がっています。確かにシングルマザーかどうかという属性が問われなくなってきた時代の変化は大変良いこととは思いますが、決して手放しで喜んでいて良い状況ではなさそうです。  繰り返しになりますが、現代では結婚した人は3割の確率で離婚すると言われています。今結婚をしている人もこれから結婚を考えている人も、どうかこの話を他人事だとは思わず、経済的および社会的な自立は大切にして欲しいと心から願っております。
勝部元気

日本第二の高峰・北岳から雲海に浮かぶ富士山を眺めます

⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】 【勝部元気】 1983年東京都生まれ。コラムニスト・社会起業家。専門はジェンダー論、現代社会論、コミュニケーション論、教育論等。他にも所持資格数は66個にのぼる(2015年6月現在)。働く女性の健康管理を支援するコンサルティング会社(株式会社リプロエージェント)の代表取締役CEO。ブログ『勝部元気のラブフェミ論』(http://ameblo.jp/ktb-genki/)、twitterは@KTB_genki。初の著書『恋愛氷河期』が発売中
勝部元気
1983年東京都生まれ。早稲田大学社会科学部卒。コラムニスト・社会起業家。専門はジェンダー論、現代社会論、コミュニケーション論、教育論等。他にも幅広い知識習得に努めており、所持資格数は66個にのぼる(2015年6月現在)。雑誌・TV・web等でコメンテーター活動をしている他、働く女性の健康管理を支援するコンサルティング会社(株式会社リプロエージェント)の代表取締役CEOを務めるなど、各種ソーシャルビジネスに携わっている。ブログは、男性なのに子宮頸がん予防ワクチンを打ったレポートが話題となった。twitterは@KTB_genki 。初の著書『恋愛氷河期』(小社刊)は発売中
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恋愛氷河期

著者は、ナンパ禁止論や反・不倫論で話題を呼んでいるコラムニスト。男性から、かつ若手からの立場で、女性に厳しい社会に真っ向からダメ出しをする。

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