――こだまさんは、子供の頃から人と接するのが苦手だったそうですが…?
こだま:ええ、人の輪に入っていけなくて、はしっこにいるほうが落ち着く人間でした。親からも周りと比べられることが多くて、「自分はダメな人間なんだ」という思い込みがどんどん強くなって、どもりや赤面症になってしまって……。
――山本さんはどんな子供でしたか?
山本:私も赤面症でした(笑)。
こだま:山本さんは明るくて社交的で、私とは正反対のタイプだと思っていました。
山本:たしかに、もし私が子供の頃に死んでいたら、周りからは「活発で明るい子でした」って言われるタイプだったと思います(笑)。でも、自分の中ではめっちゃ気にしいでした。
こだま:意外です。
山本:小さいことでいえば、髪の毛がおかっぱだったこととか、母親のことをママっていうのが周りで私だけだったこととか、運動神経が悪かったこととか、他にもいろいろコンプレックスだらけで。それで、一度赤面すると、余計に恥ずかしくなって。
こだま:前もなったからまた赤くなってるんじゃないかと思うと、余計に赤くなっちゃうんですよね。
山本:そうそう、恥ずかしいから赤くなるんじゃなくて、赤くなると思うから恥ずかしいんです! でもいつからか、色んな問題は自虐やネタにして友達に話すようになっていたような気がします。
こだま:それはブログの雰囲気にも表れていますね。友達に向けてしゃべっているような親しみやすさがあって、知り合いじゃないのにすごく親近感を抱きました。山本さんのブログは、友達もみんな見ていて楽しんでるんですよね? そこが羨ましいなと思います。
山本:こだまさんがブログをやっていることは、家族や友達は本当に知らないんですか?
こだま:ええ、インターネット上で交流している人以外は、一切誰にも言ったことがないです。そもそもネットに文章を書き始めたのも、周りの人には言えないようなことを、ここで吐き出さないといつ死んじゃうかわからない……みたいな気持ちで書いていたので。
山本:文学フリマとかに出展したときは、ご自身も足を運ばれてるんですか?
こだま:顔も身元も隠しているくせに、そういうのには行っちゃうんです。やってることが、ちぐはぐですよね(笑)。
この本のもとになった文章も、もともとは「A4しんちゃん」というサークルが文学フリマで売る同人誌『なし水』の中の一編でした。一緒に作っている
爪切男さん、たかさん、のりしろさんといった方たちがおもしろい方ばかりなので、彼らに負けないものを書くためには、自分の一番恥ずかしい部分をさらけ出すしかないと思って。
彼らに認めてもらいたいという一心で書いた文章なので、まさか書籍化されるとは思ってもみなかったですね。
<TEXT/福田フクスケ PHOTO/林紘輝>