35歳・貯金ナシ、老後は怖くて考えない…どうにかなる?/お金の人生相談
<お金の人生相談/ファイナンシャルプランナー・花輪陽子>
●将来を考えると暗くなるから、貯金残高を見るのも怖い(35歳・女性・派遣)
先々のことをあまり深く考えず、この年になってしまいました。でも結婚できる気配は全然ないし、仕事は派遣で手取り20万円、貯金もほとんどありません。今後、さびしく貧しい将来しか浮かんでこず、考えると怖いので、「まあどうにかなるだろう」とゴマかしてきました。
よく、将来かかるお金を計算して計画的に貯金を…という話がありますが、とても無理…。貯金通帳を見るのさえ、暗くなるから怖いのです。どうにかなるでしょうか? どこから手をつけたらいいでしょうか?
将来が怖いという気持ちはうまく利用することができれば貯める力に変えることができます。
お金のない独居老人がどれくらい恐ろしいことか、具体的に考えてみましょう。
厚生労働省によると、健康上の理由で日常生活が制限されることなく過ごせる「健康寿命」が2016年時点で、男性72.14歳、女性は74.79歳です。人生100年時代と言われていますが、75歳以上からの25年間は多くの人が介護や医療が必要になるということです。例えば、今から75歳までの40年間は働くという設定だとしても、その間に25年間分の蓄えを作っておかないといけないのです。
65歳から公的年金が受給できる予定ですが、平成30年度の新規裁定者(67歳以下の方)の年金額の例は国民年金(満額)一人分で6万4941円でした。厚生年金に入っている場合は報酬によって金額が変わるのですが、相談者が65歳まで働く場合は、おおよそ月12万円弱の年金額(国民年金などの加入状況にもよる)になります。「ねんきんネット」でご自身の年金額を試算することができます。
厚生年金に加入している場合、月12万円以内で生活を送るようにするか、現在の月20万円程度の生活レベルを維持したいのであれば貯金で備える必要があります。月2万円(年24万円)を貯めていけば65歳までの30年間で720万円貯めることが可能です。65歳から75歳まではバイトなどをして、75歳から25年間、年29万円程度使うことができます。
これは運用ゼロで資産をしていますが3%程度で運用をして貯めていき、取り崩す際にも運用をしながら取り崩していけばお金を増やすことができ、お金の寿命を伸ばすことができます。
例えば、月2万円(年24万円)を3%で運用すれば65歳までの30年間で985万円作ることが可能です。また、3%で運用しながら取り崩す場合、毎月4.7万円ずつ取り崩しても25年間お金をもたせることができます。最初の場合よりも年間27万円程度使えるお金が増えます。
月に換算すると年金と合わせて17万円弱使えることになります。月2万円を貯めていくなら今の支出の18万円程度を維持できると言うこともできますね。歳をとると消費も抑制されるので、現在よりも我慢といった感じではなくなると思います。少し老後の夢や願望が広がったのではないでしょうか。
いかがでしょうか。資産運用を考えていけば少ない元手でも長期で運用すれば老後資金を作ることは可能です。月2万円であればなんとか今の収入から捻出して将来のために備えることもできるのではないでしょうか。このように恐怖と欲望を貯める力に変えていければ良いですね。
<文/花輪陽子>
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【花輪陽子】
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)、CFP(R)認定者。1978年生まれ、外資系投資銀行をへてFPとして独立。現在シンガポール在住。『夫婦で年収600万円をめざす! 二人で時代を生き抜くお金管理術』『毒舌うさぎ先生のがんばらない貯金レッスン』など著書多数。http://yokohanawa.com/
相談:35歳で貯金ゼロ、何から手をつければいい?

答え:恐怖と欲望を貯める力に変えましょう

月6万~12万円での生活を想像してみて
なんとか月2万円の貯金から始めよう
花輪陽子
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)、CFP(R)認定者。1978年生まれ、外資系投資銀行をへてFPとして独立。現在シンガポール在住。『少子高齢化でも老後不安ゼロ シンガポールで見た日本の未来理想図』 (講談社+α新書)など著書多数。公式サイト