
が、その3回目の夫と離婚するとき、4人に増えた子を「○○家」から引っ張り出して私の戸籍に入れようとしたら!
養母用の用紙がないのです。
つまり、連れ子を連れて結婚していただいたような女が、また離婚して自分の籍に子を連れ出すような状況を届けるのに、印刷に値するような紙はねえ(当時)と。夫がヒモでも(しつこい)。
家庭裁判所のカウンターで手書きしました、「養」の字を。養母が籍から抜け、新しい自分の戸籍に養子や実子たちを招き入れる旨を。
今はどうか知らないが、離婚女性が子を自分の籍に入れる手続きも、家庭裁判所まで行かないと出来なかったという記憶になっている。
「面倒くさくてすみませんね~」
と担当のご婦人は優しく微笑んでいた。その人に怒ってもしょうがないのでただ黙々と書いた。

内田春菊『あなたも奔放な女と呼ばれよう』 講談社文庫より
こうして私の戸籍制度嫌いはすっかり出来上がり、インタビューなどに「長男」とか「長女」とか私が言ってない戸籍用語が書いてあると、直していただくようになったのです。
自分の夫を「主人」と呼んでいる女性がいると、ここでは話題に注意しよう、と身を固くしたりもする。夫がヒモじゃないからこそ自然に出るんでしょうしね。私の知らない世界。恋愛もやめたからもう知ることもありません。
あまり政治的なセンスもないのでただぼんやりと祈るだけです。早くなくなんないかな戸籍制度。
<文&イラスト/内田春菊>
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