西田尚美、胸を張って「女優です」とは、ずっと言えなかった
ファッション誌『non-no』や『an・an』などで、モデルとして女性たちから圧倒的な支持を得て、芝居業に軸を置いてからも存在感を発揮し続けている女優の西田尚美さん(51)。
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YouTube配信の短編ドラマシリーズからスタートし、映画版が公開となった『青葉家のテーブル』では、シングルマザーの春子役で主演を務めています。
旧友・知世(市川実和子)の娘・優子(栗林藍希)を中心とした、自分の将来に悩みもがく若者たちの物語と、過去の出来事から疎遠になっていた春子と知世の物語が平行して進んでいく本作にちなみ、西田さん自身が、モデルとしてスタートしながら、悩みもがいていた時期のことを聞きました。
――映画版は大人パートと青春パートが描かれていて、それぞれに感じるところがありました。西田さんは映画版にどんな魅力を感じましたか?
西田尚美さん(以下、西田)「若者たちのキラキラと輝いている感じです。今は気づいていないかもしれないけれど、『あなたたち、今すごく輝いてるんだよ!』と。将来や進路について悩んだりもがいたりしているさまが、私の立場から見るとすごく泣けるんですよね。
そして、『私たちも将来についていろいろ不安があったりしたけれど、あれがあっての今の私たちだよね』というのが、まさに春子たちで、それが響きます。これから生きていく先も明るいし、今から楽しいことを始めても遅いことは何ひとつないと思えます」
――西田さんはもともとモデルをされていて、そこから女優業へと進んでいかれました。文化服装学院を卒業して、モデルそして女優へという進路は、割と明確だったのでしょうか?
西田「すごくもがいてました。学校に通ってアルバイトをしながら事務所に所属したんです。自分がどうなっていくのか、どうしたいのか明確な理由はなかったです。漠然と就職活動をして、内定もひとついただいてました。
でもその頃には、事務所から仕事を与えていただけるようになって、雑誌とかにも出始めていました。親には内定をもらったことは伝えていましたが、モデルの仕事のことは黙ってたんです。自信を持って言えなかったんですよね。でも『雑誌に出てたわよ』と近所の人から聞いたようで、父が『non-no』か何かを見たんです。そのとき、楽しそうにやっている姿を見て、安心と嬉しさがあったようです。実家に帰ったときに『2つやるのはしんどいじゃろう』と。許してくれているのだと感じたので、就職のほうを辞退しました。
とはいえ、モデルだけで食べていける立場ではないですし、アルバイトをしながらモデルをやっていく覚悟があるのかと考えると、怖かったですし、常に不安ではありました。なのでこの映画の優子ちゃんの気持ちはすごくよくわかります」
――でも天下の『non-no』のモデルです。
西田「傍から見ればそう思うかもしれないですが、いつ呼ばれなくなってもおかしくない。今の仕事もそうですが、需要がなくなったら、一気に食べられなくなる仕事ですから。本当に怖かったですよ」