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「『電波少年』懸賞生活は一種の洗脳。自殺も考えるほど苦悩」なすび激白、イギリスで半生が映画化の今とは

本人は自殺も考えるほど苦悩していた「懸賞生活」は一種の洗脳

――今の日本のテレビでも、当時と同じことができるかというと難しいのではないかと思います。 「あそこまでコンプライアンスを無視したものは、もうできないでしょうね。今だと日本でも海外と同じ反応は出てくると思いますよ。当時もあったのかもしれませんが、SNSが発達していないのもあって小さな声は無視される時代だったんですよ」
「進ぬ!電波少年」(日本テレビ)「電波少年的懸賞生活」なすび

(C)日本テレビ

――「懸賞生活」をしていた時のことは覚えていますか? 「鮮明には覚えていないんです。なぜかというと、僕にとっては辛い記憶だから。なるべく忘れよう、消し去ろうという意識が働いてるんですよね。 あの経験を美化することは難しいのですが、考えないようにすることで先に進めているのだと思います。たぶん、視聴者さんの方が僕が何をしていたかをよく覚えてるんじゃないですかね」 ――やらせ疑惑も一時期は取りざたされていましたが、あれは本当にありのままの出来事が映し出されていたのでしょうか? 「本気のガチンコです。本当に放送されていることも知りませんでした。僕からすれば命を削って精神も削って、自殺も考えるほど苦悩していたことが、見ている人からは『楽しそう』と思われていたことも信じられない。 効果音やナレーション、テロップでうまいことポップに編集して、視聴者には楽しそうに見せている。あれは一種の洗脳ですよ」

「懸賞生活」は完全に十字架。終了後も恐怖や人間不信にも

――そこまでのレベルで辛い企画だったことを私も今知りました。 「やってることはほぼ拷問(ごうもん)でしょ。スタッフがあの生活を強いて、一人の人間を貶(おとし)めることができるという恐怖を終わった後も感じました。 視聴者から『またやってください』って言われることも怖かった。『あれを笑って見てたの?』『まだ見たいと思うの?』って、正直かなり人間不信にもなりましたね」 なすびさん――後遺症ともいえるその時期を、どんなふうに乗り越えていったのですか? 「蓋(ふた)をしていくことで徐々にリハビリをしていった感じです。でも今も、完全にその時のことを無しにして生きているわけじゃないですよ。 25年経っても『今日は服を着てるんですね』なんて言われるってことは『懸賞生活』は完全に十字架で、すべて払拭できているとは言えない。もしかしたら『懸賞生活のなすび』という目で見る人が少なくなれば、克服したと言えるのかもしれません」
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本人が死んでから作られるものだと思うんですけどね…
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