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曖昧な関係が延々つづく「じれったいBL作品」が受け入れられるワケ。BL愛たっぷりに考察

“恋人以上友達未満”みたいな関係性

「みなと商事コインランドリー2」 BLドラマとはつまり、“不確定”の関係性を描く物語である。単に友達ではないし、単に恋人でもない。友達以上恋人未満としてもうまく説明がつかない。あえて言えば、“恋人以上友達未満”みたいな、よくわからない関係性。  とても曖昧なグレーゾーンを生きつ戻りつする。晃と慎太郎は、晃の提案によって確かに友達スタートだった。それでキスやハグすらままならない遅延の関係性を曖昧に続けた。  2023年9月21日で最終回を迎えた『みなと商事コインランドリー2』(以下、『シーズン2』、「U-NEXT」他で配信中)では、恋人以上の関係性が描かれることになる。同じ屋根の下、晃と慎太郎は一緒に暮らし始める。  晃の祖父母が暮らしていた古民家では、夏の縁側が涼を取る場所となり、ふたりの関係性が絶妙なさじ加減でコントロールされながら表現される。

スルメイカ作品の“夢と愛の物語”

「こうして湊さんと恋人同士でいることが夢なんじゃないかと思うことがあります」  バーベキューをしていると、慎太郎がふとそうもらす。ああ、なるほどそうきたか。友達のようで友達ではなかったふたり。事実上の恋人になったものの、それは“恋人以上の夢”なのだった。  ではその夢の実体とは。晃と慎太郎の関係性は同居してからがほんとうの始まりと言える。出会いから付き合うまでに終始した『シーズン1』に対して、『シーズン2』では、ふたりの日常のやり取りが丁寧に描かれる。  ときにちょっとしたすれ違いによって仲がもつれ、現実的な問題に直面したりもする。この現実を常に支えるのもの、それが慎太郎が抱く夢だ。本作では、彼の夢が現実味を帯びる過程を注視する。夢と現実が実に見事に調合される限り、ふたりの関係性は見飽きるということがない。  ちょうど『シーズン1』を見直したときのように、むしろ噛めば噛むほどに味が出る。本作はそんなスルメイカ作品として、噛んだ分だけ夢がにじみ、ふたりの愛は常に充電される。 『みなと商事コインランドリー』の“夢と愛の物語”はシーズン2放送を終えた今もまだ、どこかの海辺の街で続いているようだ。 <文/加賀谷健>
加賀谷健
コラムニスト / アジア映画配給・宣伝プロデューサー / クラシック音楽監修「イケメン研究」をテーマにコラムを多数執筆。 CMや映画のクラシック音楽監修、 ドラマ脚本のプロットライター他、2025年からアジア映画配給と宣伝プロデュース。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業 X:@1895cu
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